2023年2月10日 ダニール・トリフォノフ ピアノリサイタル サントリーホール
チャイコフスキー こどものためのアルバム
シューマン 幻想曲ハ長調
モーツァルト 幻想曲ハ短調
ラヴェル 夜のガスパール
スクリャービン ピアノ・ソナタ第5番
ピアノ作品では、なんだかんだ言って超絶技巧の曲が好きだ。
夜のガスパールも、スクリャービンのピアノ・ソナタも、相当に高度の技術が求められる。
ということで両曲とも大好きだし、さながらこの日のプログラムは技巧難度の高い曲の2トップ。「これは聴かねばなるまい」と、悪天候の中、会場に向かう。
2010年のショパン国際コンクールで第3位、翌2011年チャイコフスキー国際コンクールで優勝という華々しい経歴を誇るトリフォノフ。上記の2曲を鮮やかに弾きこなすテクニックはさすがだが、単なるスキル誇示だけの演奏ではないのがいい。
プログラムすべての作品が完全に手中に収まっていて、「自分として、トリフォノフとして、どう表現させたいか」が演奏に投影されている。難度の高い箇所は、技巧ではなくパッションによって音に変化させつつ、勢い任せではなくしっかりと制御を働かせて響かせる。
驚いた。まだ若干32歳だというのに、もう大御所ピアニストとしての風格が備わっているではないか。
2010年のショパン・コンクール、第3位ではあったが、実は第2位が二人いたため、実質的には第4位だったと言っていい。
しかし、その後の成長と活躍によって、評価はいくらでも塗り替えられる。
第1位のハラシェヴィチをあっさりと凌駕してしまったアシュケナージのように・・・。
さてさて、2010年の第1位、アヴデーエワ女史、如何とす。
その彼女が、偶然にも同じく今月下旬に来日する。