指揮 パーヴォ・ヤルヴィ
師走でございます。
今年もたくさんの一流オーケストラが来日してくれました。圧巻はやっぱり、10月末からウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ、クリーヴランド管、ロンドン響らが立て続けにやってきたことでしょうか。
そしてこれら一連のトリを見事に飾ったのが、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン。いやあ、素晴らしかった。年内、まだN響定期とかあるけど、気分的には「見事に締まりました。今年もこれですっきり終わりですねぇ。」ってかんじ。
で、極めつけが今回のヤルヴィ・ドイツカンマーの演奏だ。
スダーンやヤルヴィの‘目からウロコ’の演奏を目の当たりにすると、新たな念がフツフツと湧き上がる。「シューマンがじみ~で面白くないと思っていたのは、曲がそうなのではなく、実は、これまで永年にわたって私が聴いてきた演奏(録音でも生コンサートでも)がつまらなかったということではないだろうか!?」
どんな曲でも、その魅力を理解するためには、一にも二にも‘料理人’の腕次第ということなのだ。
今回の公演でいうと、まずヤルヴィの解釈が斬新だ。今まで全く気がつかなかった旋律が次々と浮かび上がってくる。楽譜に潜むアクセントや強弱、テンポの動き、こうしたもの一つでも指揮者のさじ加減によって、音楽が劇的に変化する。ヤルヴィはそのツボを的確に捉えているということだろう。
ドイツカンマーフィルも、これまた愉しからずや。
タクトに呼応する反射神経は極めて鋭敏。まるで、アクセルを軽く踏んだだけでグンと前に進み出る高性能の車のよう。決して馬力がある大型車というわけではないのにこの推進力。こういうオケが、ベルリンでもミュンヘンでもドレスデンでもない、ブレーメンにあるというのが、ドイツオーケストラの奥深さを感じずにはいられない。
この日会場に集ったお客さんも、私と同じ思いに駆られたのではないだろうか。熱い拍手喝采と、あちこちから掛かるブラヴォーの声。きっと「いいコンサートだったね」と同じくらい「シューマンっていいね!」という感想が語られたに違いない。
終わりよければすべてよし。
ということでみなさん、よいお年を~!
あ、まだ終わってないや(笑)