クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

アラベッラ

ところで、アラベッラお嬢さん、どう思います??
この人本当にいい女性??
オレさ、「おまえさん自分のことしか考えてねーだろ」っていうツッコミを入れたくてしょうがないのだが。
 
その1
 破産寸前で毎日のように催告書、督促書が届いている家庭の危機だというのに、そんな現実などどこ吹く風で「今日は謝肉祭よっ!楽しみ~」と浮かれている。(第2幕で、結婚を迫るマンドリカに対して『我が家の実情をご存知ですの?』などと聞いているところからして、ヤバい状況であることは、一応は知っているようだ。)
 
その2
 家族思いのズデンカが「マッテオが幸せになりますように、家族が追い出されませんように、お父さんが賭けで勝ちますように、それが叶うのなら私は一生男の格好をし続けても構いません」と祈っている(なんという献身!)というのに、姉ときたら「いつか素敵な人が目の前に現れたら・・」なんてボケた夢を見ている。玉の輿しか頭にないようだ。
 
その3
 言い寄ってくる男どもの真心を軽んじている。楽しい誘いには応じておきながら、陰では「どいつもこいつも、どこかイマイチ物足りないのよね~」と不遜な態度。
「あら!素敵なお花!」と手に取って、それがマッテオからの贈り物だと聞いた瞬間、ポイ捨て。
 夢にまで見た王子様がついに現れたと思いきや、それまで好意を寄せてきた男連中を次々と「はい、さようなら」と切り捨て。きっとこれまで相当プレゼントを貰ったり、貢いでもらっていたであろうに。ゆ、許せんっ!
 
 コノヤロー、せっかくの「好きです」という好意をポイ捨てするな。このオレ様もその昔、何度「ごめんなさい」と言われたことか、チクショー。(泣)
 
 ということで、結論、私はいくら美人であっても思い上がった女は嫌い、やっぱり思いやりがある人がいいよね・・・って、違うわい、私の話ではないわいっ(笑)。
 
 そんなタカビーなアラベッラに比べて、ズデンカはなんと優しくて素敵なことか!思いやりがあり、好きな人への一途な気持ちもある。(やっぱり私の好きなタイプの話か?笑)
 
 ズデンカには、どうか幸せになって欲しい。
 それなのに、今回の新国立アラベッラの演出、そのズデンカの描き方がいささか弱い。物語の行方を左右する重要人物なのに、存在感がいま一つである。もっとも、これを演じるラスムッセンの歌唱が良くも悪くもなくいわゆるふつーなので、存在感が薄い原因の一つになっている。
 
 せっかくマンドリカが罪滅しにズデンカとマッテオの仲をとりもち、「若い二人が結ばれることを断らないでください」と父ヴァルトナーに申し出るのに、そのヴァルトナーが承服しかねるかのようにイライラし、握手の手を引っこ抜くという今回の演出上の振付は胸くそ気分が悪い。だーかーらー、ズデンカを幸せにしてあげろっつうの!
 
 
 私の勝手な想像だが、物語「アラベッラ」の続編が「ばらの騎士」だと思う。アラベッラの将来-15年後の姿が、ばらの騎士のマルシャリン。
 玉の輿に憧れ、見事に夢を実現して夫のお城に嫁いできたが、やがて時が経つに連れて夫婦間の恋愛感情は徐々に冷めていく。マンドリカの‘一度猜疑心が芽生えたら、とことん許せなくなる’という性格は、そう簡単に直らなく、やがてアラベッラは憧れと現実のギャップに落胆し、失意の日々を送る。そうなると、美しさを武器にして「蝶よ花よ」とチヤホヤされた青春時代が懐かしい。こうして、若い恋人オクタヴィアンとの火遊びに夢中になる・・・。
 
ほら、なんとなくそんな感じに見えませんか???  ふふふ。