ミュンヘンに限らず、欧米ではストリート名が住所になっている。このため、都市圏ではほぼすべての通りに名前が付いているはずである。
膨大な数の道路に一つ一つ名前をつけるにあたり、昔からの由来や縁のある地名だけではとてもじゃないけど足らない。必要に応じ、偉人や名士など人物の名前、あるいは歴史や文化にまつわる固有名詞などをどんどんと拝借してはストリートに命名している。
もうかれこれ10年くらい前だろうか。
これって、ひょっとするとR・シュトラウスのオペラ「アラベッラ」にちなんでいるのだろうか?
いや、まさかなあ・・・。
気になったので、さっそく行ってみた。
そこは観光的に見るべき物など何も無い、ごく普通の街並みであった。Parkとあったが、付近に公園は見当たらなかった。ましてやシュトラウスのテーマパークなんて・・あるわけないか(笑)。
せっかくだからとぷらぷらと散歩をした。そこで設置されているストリートの標識を見、思わず感嘆の声をあげてしまった。
「うわあ! ここらへん一帯はR・シュトラウス地区ではないか!」
何の変哲もない界隈を散歩しながら大いに興奮したことを覚えている。
あの興奮をもう一度。
今回はこの探策を更に拡大バージョンアップし、クラシック音楽を由来とするミュンヘン市内のストリートを徹底的に調査しようという特大スペシャル企画だ。事前にグーグルマップである程度の目ぼしを付けてある。とてもじゃないが徒歩では無理なので、レンタサイクルを利用することにした。
そんなことして楽しいのかって?
何を言うか。楽しいのである。本人は大真面目なのである。これはクラシックヲタクのミッション。オレがやらずに誰がやる? やる気満々なのである。
ほかにすることはないのかって?
ないのである。
言っておくけどな、ミュンヘンはもう20回以上も訪れているんじゃい。そんな私が知らないとっておきの過ごし方があったら、教えてほしいもんじゃい。
ということで、それでは出発進行!
次に今度は街の北東に向かう。それにしても自転車だと楽ちんだなあ。
いいぞいいぞ。調子が出て来たぞ。
大通りにぶつかった。出た!R・シュトラウス通りだ。
前回はここらへん界隈を歩いたわけだな。さあ、シュトラウス地区を徹底的に潰していこう!
この付近はマンション、ホテル、レストラン、スポーツジムなどが軒を連ねるオシャレで洗練された街だ。
続いてアラベッラ通り、エレクトラ通り、ダフネ通り、ホーフマンスタール通り・・・
いやー、こういう所に住んでみたいよな。自慢になるよなー。
更に北東に進む。コジマ通りが現れた。
さあワグネリアンの皆さん、お待たせしました。
あ、ちなみに付近はこんな感じ。本当に静かな普通の住宅街ですってば。
ファイト・ポークナー通り、エヴァ通り、ダーヴィッド通り・・・
うう、さすがにだんだん疲れてきたなあ。いや、ガンバロウ。
タンホイザー通り、ダーラント通り、リエンツィ交差点・・・
自転車のサドルが結構固い。だんだんケツが痛くなってきたぜ。クソー。
マジにケツが痛えー。自転車を立ち漕ぎする。こんなとこでいったい何やってんだオレ。
ゼンタ通り、ローエングリン通り、オルトルート通り、テルラムント通り・・・
ローエングリンはいいけどさあ、オルトルートとかテルラムントってどうよ?悪役だぜ?住んでいる人は知っているのかね。
グラール通り、エルザ通り、ハインリッヒ王通り・・・
ううっ、体力の限界が近づいてきたかも。でもこれで大体回ったような気がするし、そろそろいいや。引き上げるとしますか。それにしてもケツが痛え・・・。
およそ3時間のサイクリングであった。
帰り道に再びイザール川を渡ると、そこにミュンヘンっ子のオアシス、英国庭園が。ちょっくらここで休憩しましょうかねー。
公園のシンボル、中国の塔を囲むようにしてビアガーデンが営業中。
ということで、私もいただきます。うっしっし。自転車でいい汗かいた後の一杯はうまいねえ(笑)。
ところで、私が上記のとおり巡ったストリート以外で、他に音楽に縁のある通り(建物でも公園でもなんでも可)を知っていたら、是非教えてくらはい。次の機会に行ってみます。
(懲りずにまた行く気なのか!?)