クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2015/5/4 エジプトのヘレナ

2015年5月4日   フランクフルト歌劇場
R・シュトラウス  エジプトのヘレナ(コンサート形式上演)
指揮  シュテファン・ショルテス
リカルダ・メルベート(ヘレナ)、アンドレアス・シャーガー(メレナス)、ブレンダ・ラーエ(アイトラ)、シモン・ニール(アルタイル)、ビュー・ギブソン(ダウド)、オッカ・フォン・デア・ダメラウ(貝殻)
 
 
 演奏会形式とはいえ、なかなか聴けないこの作品を聴けたことが一番の収穫。オペラ上演だったら最高だったかもしれないが、やってくれただけでもありがたく、文句は言えない。
 そもそもドイツでは「月曜日は休演日で、何もやらない」という劇場が多い。(ドイツに限らず、ヨーロッパ全般でその傾向)なので、この日に何かをやっている場所自体が限られていた。ヴィースバーデンからの移動時間も少なく、そういう意味でもラッキーだったのだ。
 
 指揮のショルテスは、どうやら今月はシュトラウス月間のようである。同時期に掛け持ちで、ケルンでアラベッラを振っている。翌日、私もそれを観る。まるでショルテスを追いかけるようなものだ。
 もっと言うと、ドイツで一連の公演をこなした後、彼は日本にやってくる。今月の新国立劇場で「ばらの騎士」を振るために!!いやあ、驚きだ。日本公演では、楽屋を訪ねて挨拶してやりたいくらい。
 もともとショルテスは「シュトラウス専門家」的な指揮者である。私がこれまでに聴いた彼のタクトの公演は、全部シュトラウスのオペラだ。日本では2011年2月、コンヴィチュ演出で話題になった二期会サロメが記憶に新しい。あの時は良くも悪くも全部演出家に持って行かれてしまったが。
 
 フランクフルト公演に戻るが、お客さんの入りがイマイチ良くない。6割くらいだろうか。コンサート形式などという不利な面もあるが、単純にこうしたマイナーな作品を取り上げるのは厳しいということか。残念ではあるが、それでも果敢に取り組む劇場の姿勢は大いに評価してあげたい。
 
 キャストについてだが、誰が出演するのか、まずは計画段階で当然調べるとして、最終的には当日劇場に行ってみないと分からない。私はプログラムを買わない人間なので、劇場の壁などに当日のキャスト表を掲示して発表している場合には、それを見て確認する。もし掲示していないと、分からないままとなってしまう。
(キャスト表は、無料で配っている劇場もあるし、くれと言えばくれる劇場もあるし、有料で売っているところもある。)
 
 フランクフルト歌劇場は当日キャスト表の掲示がなく、配ってもいなかった。だから、ヘレナ役として本番ステージにメルベートが登場した時はびっくりした。当初予定はタマラ・ウィルソンというソプラノ歌手だったのだ。
 まあ、日本のオペラファンにもお馴染みのメルベートが出てくれたのは、かえって良かったといえる。決して大きな声を持たないけど、凝縮した力が備わった凛々しい歌唱だ。
 そのメルベートさん、普段出演するオペラでは当然メガネを外して舞台に立つが、この日はコンサート形式ということで、譜面を見ながら。そのメガネ姿がなんだかとってもオバチャンで、苦笑。
 若い頃は透き通るような美人だったのになあ。今でも十分美人だが、そのメガネはちょっとイマイチかと。すみません、外見にイチャモン付けて。
 
 この日最も素晴らしい歌唱で聴衆を唸らせたのは、メネラス役のシャーガー。大ホームラン。またやってくれたね!
 2013年11月、チョン・ミュンフン指揮の東京フィル公演「トリスタンとイゾルデ」コンサート形式上演で圧倒的なトリスタンを歌い、日本のファンにその名を轟かせた、あの彼だ。私もこの東京公演でその名を初めて知り、そして脳裏に刻まれた。ヘルデンテノールとして欧州各地で活躍中だが、そのうちバイロイトにもお声がかかるのではなかろうか。
 
 アイトラ役のラーエ、悪くはないんだけど、どうもピンとこない。声がしっかり響いてこないというか・・。以前やはりこの劇場でツェルビネッタを聴いたことがあるが、その時もそういう印象だった。でも、カーテンコールではかなりのブラヴォーをもらっていた。本当にそうなのか?きっと同劇場の人気専属歌手なのだろう。
 
 翌日は上にも書いたとおりケルンでアラベッラ。三夜連続のシュトラウス。なんという幸せ!