クラシック、オペラの粋を極める!

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2010/4/4 東京・春・音楽祭(ワーグナーシリーズ)

2010年4月4日 東京・春・音楽祭 ワーグナーシリーズ  東京文化会館
ワーグナー  舞台神聖祝典劇 パルジファル(演奏会形式上演)
指揮  ウルフ・シルマー
管弦楽  NHK交響楽団
合唱  東京オペラシンガース
ブルクハルト・フリッツ(パルジファル)、ミヒャエラ・シュスター(クンドリー)、フランツ・グルントヘーバー(アンフォルタス)、ペーター・ローゼ(グルネマンツ)、小鉄和広(ティトゥレル)  他
 
 
 いや~驚いた。
 まさか東京でこんなにも本格的なワーグナー体験が出来るとは夢にも思わなかった。東京・春・音楽祭のパルジファル-まさに本物だった。
 
  もちろん指揮者を含め、主要キャストについてドイツをはじめとして欧州から一流歌手を招いたのは大きい。オペラの場合、何だかんだ言っても歌手が重要なので、これが成功の最大の要因と言っていいだろう。
 B・フリッツ、M・シュスター、P・ローゼ、F・グルントヘーバーの各氏はいずれも本場の一流歌劇場でそれぞれの役を歌い、高い評価を得ている第一人者たちだ。
 
 なかなか日本ではパルジファルを観ることは叶わないので、私もこれまで何度となく渡欧して鑑賞しているが、いたるところで上記の歌手に巡り会っている。つまり、それだけ引っ張りだこでパルジファル上演に欠かすことの出来ない歌手だということだ。
 
 特にM・シュスター!!彼女を初めて聴いて驚いた人は多いと思う。
 もし日本で「最高のクンドリーは?」というアンケートを取ったら、おそらく第一位はきっとワルトラウト・マイヤーになると思うが、私だったら間違いなくシュスターに一票だ。
 私は彼女が歌うクンドリーを聴くのはこれで4度目になる。私にとって「クンドリー」イコール「シュスター」なのだ。この日も抜群の存在感で、本当に素晴らしかった。特段の美人というわけではないのだが、多彩な表情を持っていて、女優っぽい。クンドリーのような、表と裏、光と影があって捉えどころが難しい役にうってつけだろう。コンサート形式上演ということで、演技が控え目だったのは残念だった。
 
(そういえば、ほとんど全ての歌手が譜面台を前にして楽譜を見ながら歌っていたが、既に十分すぎるほどの経験があるわけだし、楽譜無しでも当然OKなはず。そうすれば型にはめられた身振りがもう少し解放されると思ったのだが・・・。)
 
 歌手だけでなく、合唱やN響も立派なワーグナー仕立てに貢献した。
 N響ときどき「やるときゃやる」。
 もっとも弾き方吹き方は相変わらずふんぞり返っていたが(笑)。
 
 パルジファル、良い演奏に巡り会うと感動が深い。そりゃそうだよな。なんたって「聖金曜日の奇跡」の物語。舞台の上で奇跡が起きるんだから。