2010年2月6日 藤原歌劇団 東京文化会館
プーランク カルメル派修道女の会話
指揮 アラン・ギンガル
演出 松本重孝
折江忠道(伯爵)、出口正子(ブランシュ)、中鉢聡(騎士)、森山京子(クロワシー)、佐藤ひさら(リドワーヌ)、鳥木弥生(マリー)、佐藤美枝子(コンスタンス) 他
なかなか上演されない名作。公演のチラシに『20世紀フランスオペラの最高峰!!』と書いてあったが、‘フランス’を取ってもいい。20世紀のオペラの最高峰だ。昨年の新国立劇場研修所公演に続き、二年続けて鑑賞できるのは本当に何より。上演してくれるだけで感謝、なんですけど・・・。
だけど、演奏の中身、質のことになると、話は別です。(きっぱり)
いや、「演奏」というより、「言語」、「ディクテーション」の問題。これがフランス語に不慣れな日本人に阻んでくる。
各々の歌手の発するフランス語が、プーランクの音楽に上手に乗っからないし、融合しない。まるで水と油。
日本人の上演によるカルメンを聴いてもそれほど気にならないのに、今回これがヤケに気になったのは、やはりこのオペラが持つ独特の物があるのだろう。何と言っても、タイトルが「会話」ですから。
フランス語って本当に難しいんだろうな。日本語に存在しない発音あるし。
と言いつつ、休憩後あたりから徐々に違和感が薄れ、音楽に没入できるようになってきた。感覚がマヒしてきたのか、それとも音楽と物語に吸い込まれていったのか・・。
日本におけるフランスオペラ上演で、今や欠かすことの出来ないギンガル氏の音楽も趣があってよかった。オケピットからはハッとするような美しい響きが随所に聞こえてきた。もっとも、ミス音や締まりのないたるんだ響きも、結構聞こえたが(苦笑)。
演出はトラディショナル。時も場所もオリジナルの設定が明確なので、飛躍的な解釈はもともと望むべくもない。シックな舞台で良かったと思う。断頭台への音楽のところで、スクリーンを使って、市民への弾圧と処刑の系譜を映し出したのもアイデアは良かった。