ヴェルディ ル・トゥルヴェール(イル・トロヴァトーレ フランス語上演版)
指揮 ロベルト・アバド
演出 ロバート・ウィルソン
前回のパルマを紹介する記事の中でも書いたが、ファルネーゼ劇場は、いわゆる普通の劇場というより、「歴史遺産建造物」と称されるべきだろう。欧州でも最古の劇場の一つだそうだ。定期的な上演を行っていないので、そこでオペラを観られるというはラッキーであり、貴重な体験。
しかも、フランス語上演版という珍しいプロダクション。
そんなのがあったのか。まったく知らんかった・・。
フランスのグランド・オペラには、たいていバレエが挿入される。
この作品では、第三幕のルーナ伯爵の家来たちの合唱後、バレエ・タイムとなった。聴いたことのない音楽が展開され、なんだかひじょーに不思議な感じ。(結構長かった)
演出は、何をやっても毎回同じ演技構成パターンで、能のような独特の幽玄世界を展開するボブ・ウィルソン。彼ほど自らの手法、特色にこだわりの一貫性を見せる演出家は他にいないんじゃなかろうか。
今回もそういうことで全く同じパターン。
出演者を型にはめ、常にポーズを取る一方、ばたばたと動くことを極端に制限する。
でも、これが結構面白い。私は好きだな。かなり。
歌手はきっと大変だと思うけど。
ただし、バレエの場面だけはいただけない。
どういうわけか、グローブをはめたボクサーが次々と登場して、みんなでボクシングをおっ始めた。まったく意味不明。異色の演出家ウィルソン、ついに御乱心。
歌手では、これまで聴いたことがなかったけど、レオノーラのマンテーニャは良かった。それからアズチェーナのスルグラーゼも。
マンリーコのジパーリは、不安定でイマイチだったが、例の「見よ、恐ろしい炎を」は一発決めて、拍手喝采だった。
ファルネーゼ劇場の雰囲気は良い。(トイレが激少なのが難)
また、音響もすこぶる良い。おそらく木造だからだろう。
ここでオペラが上演されることはあまりないというのは、なんだかもったいない。
頻繁に上演すると、歴史的建造物が傷むからだろうか。
キャパがそれほど取れないので、採算が合わないのかもしれない。
本公演のチケットだが、売行きが好調だった。
自分的には結構早めにチェックしたつもりだったのだが、公式サイトで残券「1」だった。
「わわわぁ・・」と慌ててゲット。いやー危なかった。
この最後の一枚を取ったことで、今回の旅行計画が定まったと言っても過言ではない。
逆に、取れなかったら、ひょっとしたらパルマ行き、ブッセート行きはなかったかも。
「運」ですなあ。