クラシック、オペラの粋を極める!

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2019/6/1 マノン

2019年6月1日  ウィーン国立歌劇場
マスネ  マノン
指揮  フレデリック・シャスラン
演出  アンドレイ・セルバン
ニーノ・マチャイゼ(マノン)、ファン・ディエゴ・フローレス(騎士デ・グリュー)、ダン・パウル・ドゥミトレスク(伯爵デ・グリュー)、アドリアン・エレート(レスコー)、ミヒャエル・ローレンツ(ギヨー)   他
 
 
ここ数日のウィーンには、超一流のトップアーティストが集結していた。
前日の「アンドレア・シェニエ」公演には、ネトレプコが出演。
この日の「マノン」には、フローレス様。
影のない女」の出演キャストも超豪華。
指揮者では、ウィーン・フィルを振るヤンソンスと、それからティーレマン
 
いやー、さっすがウィーン。
 
ということで、この「マノン」、注目度ナンバーワンはフローレスで決まり。
・・なはずだったのだが、ふたを開けると、タイトル・ロールを歌ったマチャイゼが完璧なはまり役! 体当たりの熱演だ。
 
いや、びっくり。
新国立劇場にも登場したことがあるマチャイゼだが、正直、これほどの成功を期待していなかった。
ウィーンという最高峰への出演を掴み、並々ならぬ気合いが入ったのだろうか。
やっぱり、一流の場所が一流の芸術家を育てる、ということですかねえ。
 
一方の、フローレス
うーん・・・。
フツー(笑)。
 
いや、あのね、フローレス級における普通っていうのはですね、実はすごーいんだってば。
わかります?(笑) 決して、けなしているわけではありませんから。
 
こっちの期待もデカイわけよ。
エンゼルス・大谷選手のホームランを期待していたら、「あら?内野安打?」みたいな(笑)。
 
あとはやっぱりね、転換期ということなのだろうね。今、フローレスのキャリアの中でも、結構重要な局面ね。
 
このところ、彼は役の拡大に挑戦し続けている。自身の声が成熟の期を迎えていることを自覚したのだろう。
 
だが、マスネの音楽がまさにそうだが、ロッシーニベッリーニではひたすら歌の伴奏に回っていたオーケストラの響きがどんどん厚くなり、声に覆いかぶさってくる。
必然的にパワーの増量が要求されるが、フローレスは今、自らの声と相談し、慎重に調整しながら、全身全霊で闘っているところなのだ。
 
私は一人の先駆者を思い出す。
軽いコロラトゥーラの花だったソプラノが、ついにベルカントの女王にまで上り詰めた偉大なる歌手、エディタ・グルベローヴァ
 
フローレスはやってくれるだろう。転換期を見事に乗り切るだろう。
なぜなら、彼はグルベローヴァと同じく、世紀の歌手なのだから。
 
今回私はステージに近いボックス席から鑑賞していたので、オケピットもよく見えたのだが、指揮のシャスラン、作品を完全に手中にしていて、実に見事なリードだった。
ウィーンのレパートリー上演の場合、オケに対してはほとんどぶっつけ本番ということらしいのだが、これだけ操縦が巧みなら大丈夫。歌手だって、安心して歌うことが出来ただろう。
 
指揮者の貢献に、大きな賞賛を捧げよう。
 
最後に余談。
私が鑑賞したボックス席内にて。
私の後ろの席に陣取ったお客さんは、日本の若いお嬢さん二人。オペラファンではなく、おそらく観光ついで。でも、せっかくの一流歌劇場、着る物は頑張りました、みたいな。
「ウィーンに来たんだからぁ! やっぱオペラ観なくちゃって感じ? 素敵よねぇ!」ってか。
 
でも、ステージに近いボックス席って、2列目、3列目は視界ほぼアウト。立って覗き込めば、ギリなんとかの世界。
 
こんなはずじゃなかったんだろうねえ。
「うっそー!?」って嘆いてた。もしかして、貴賓席を想像してた?(笑)
 
別にいいじゃん。どうせ思い出づくりなんでしょ?
豪華なエントランスやロビーで、たくさん記念写真取ったよね?
 
「ひょっとしてオペラって面白いかも。また観たいかも。」と思ってくれたら、オジサンは嬉しいんだけどなあ・・・。