クラシック、オペラの粋を極める!

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2010/1/9 メト トゥーランドット

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2010年1月9日  メトロポリタンオペラ
プッチーニ  トゥーランドット
指揮  アンドリス・ネルソンス
演出  フランコ・ゼッフィレッリ
リズ・リンドストロム(トゥーランドット)、マイヤ・コヴァレフスカ(リュー)、サルヴァトーレ・リチートラ(カラフ)、ハオ・ジャン・チャン(ティムール)  他


 突然ですが、この度わたくし『メトのトゥーランドット世界遺産に登録させる会』を発足させました。現在会員1名(私だけ)、主な活動は未定です。どうか皆様、ご支援をお願いします。

 ・・・と、くだらない冗談で始めてしまったが、それくらいこのプロダクションはすんごい。マジで永久保存にしたい。豪華絢爛、空前にして絶後だが、単に派手なだけでなく、その美しさにおいて比類が無く、溜め息が出るほどで、誰もが心を奪われてしまう。
 プレミエからもう20年以上経っているが、全く色褪せていない。メトが誇る看板にしてドル箱のプロダクションだと思うので、私がくだらん冗談を言うまでもなく、今後も上演され続けるのではないかと思う。また、そうであることを強く望みたい。なぜなら数年後に是非もう一度見に行きたいからね。
(それにしても、現代演出による読み替えって、上演されるとあっという間に色褪せ、廃れていきますね。結局、演出家の独りよがりな解釈というのは万民の支持を得られないわけですね。それに対して原典に忠実な演出のプロダクションは実に長持ちしますね。)

 夢だったのだ。このトゥーランドットを「いつかNYで実際に見てみたい」と願っていたのだ。(20年以上前に、スカラ座がほぼ同じバージョンで日本に持ってきたのだが、私は残念ながら見なかった。)だから、今回の鑑賞は本当に「夢が叶った!」という感じ。
 ちなみに、今回どれだけの気合いを入れたかというと、私は一階席最前列のチケットをゲットしたのであ~る。エヘン!

 いったい何度、体がゾクゾクと震えたことだろう? 
 マッチョな首切り役人が登場して刀を研ぎ、群衆が「さあ処刑だ!」と雄叫びをあげる場面。ペルシャ王子が処刑される前に「姫様お慈悲を!」と呼び出されてトゥーランドット姫が舞台奥からせり上がって登場する場面。第2幕第2場で舞台転換によって豪華な王宮が登場した場面。そして第3幕最後のクライマックス、姫が「その名は愛!」と高らかに歌い上げた場面。思い出しただけでもゾクゾクしちゃいます。

 映像になっているレヴァインドミンゴ&マルトンの舞台を何度も繰り返して見ているので、役に振り付けられている所作、動作などがオリジナルどおりに今もなお忠実に再現されていると、「おおっ!!」と感心する。特に脇役や群衆達については本当によく訓練されていた。
 一方で、主役、つまりリンドストロムとリチートラの二人については、演技がゼッフィレッリが振り付けたオリジナルからやや離れてしまう傾向が見られたのは、少々残念であった。


 この日、私をゾクゾクさせたのは舞台だけではありません。
 指揮者アンドリス・ネルソンス。若き俊英。彼もまた、この日のハイライトだった。

 これまで一度も聴いたことがなかったのにも関わらず、「将来のオペラの巨匠候補」として注目していたことは以前のブログで書いた。
 そして、その目論見は全く間違っていなかった。この指揮者、絶対今後に目が離せない!既に強烈なカリスマ性を兼ね備えている。グイグイと引っ張っていくそのタクトから、音楽があたかも生き物のように踊り出し、沸き立ってくる。「鮮烈」という言葉がぴったりだ。彼を知らない人は是非その名前を憶えておいて欲しい。

 ラトヴィア人、と言えば、大先輩M・ヤンソンスがいる。調べたところ、ネルソンスは短期間ではあるがヤンソンスにも指導を仰いだらしい。だから、というわけではないだろうが、何となく雰囲気も棒の振り方も似ている気がする。特に高揚の場面での唸り声はそっくりだった(笑)。

 歌手について。
 トゥーランドットを歌ったリンドストロムは、声量で圧倒するタイプではないが、緊迫感のある金属的な声で、氷の姫にピッタリ。あまり期待していなかったが、結果は見事だった。
 リューを歌ったコヴァレフスカも、その美しい容姿と相まって絶品!(いや、ホント美人!そういや、新国立にも来たことがありますね。)大きなブラヴォーをもらっていた。
 リチートラは・・・う~ん(笑)。歌が一本調子だし、演技もイマイチだし、歌い出しを間違えるという失態をやらかしたので40点。


 終演後は、仕事でNYへの出張が入ったため、急遽チケットを買ったという親友のSくんと一緒に食事をし、感動を共有し合った。
 いやー、Sくん一緒に観られて良かったよ。もし仮に、今回私が観られずに、たまたま出張のついでにキミが先に観て、「良かったでしたよ!」なんて私に報告しようもんなら、確実にキミの首を絞めていたことでしょう(笑)。