早朝のパリ発チューリッヒ行きの飛行機(これも約1時間半遅延した)機内でぼーっと過ごしていたところ、突然頭の中にビックリマーク「!!」がひらめいた。
「ま・・まさか・・だよな。いや、分からない。普通ならあり得ないが、あり得る・・。」
嫌な予感がよぎったのだ。
荷物の事、ではない。
私は行きのフライトで、一区間をキャンセルした。パリ-アムスの一区間だけだ。
「まさか・・まさか、残りのフライト、つまり帰国便までキャンセルされているなんて事は・・あり得ない・・よな、普通は。だが・・。いや、まさか・・。」
心配し始めるとたまらなく不安になってくる。チューリッヒ国際空港の到着ロビーに着くやいなや、すぐさま出発ロビーに向かい、エールフランス航空の発券カウンターに出向いた。
「すみません。○○○の理由により、一区間のフライトをキャンセルしました。あくまでも一区間だけです。念のため、帰国便の予約がきちんとそのままリザーブされているか確認しもらえませんか?」
担当係はにこやかに応対してくれた。
にこやかだったのはわずか数分だった。
「全ての予約がキャンセルされていますねぇ」 ガアーーン。
担当の係の人はすぐに事情を掌握し、復活手続きに取り掛かってくれた。「大丈夫、心配しないで。」と声を掛けてくれるが、表情は固い。ひたすらコンピューター画面とのにらめっこを延々と続けている。
15分、20分、30分・・・。私はカウンターで待たされる。イライライライライラ。
担当係は「予約は復活できそうだが、料金の再計算と調整に手間取ってうんぬんかんぬん」と言い訳。なんで料金の再計算が必要なわけさ?ただ単に予約を復活させればいいだけだろ? とシロウトの私は思うのだが、事はそう単純ではないらしい。
私はわざと聞こえるように「はあ~あっ!」と深いため息をつき、イライラしている態度を露骨に示す。さすがにプレッシャーを感じたのか、担当係の人はこう切り出した。
「手続きをやっておきます。結果を連絡しますので、あなたの携帯電話番号を教えてください。え?持っていない?それじゃあ滞在ホテルにご一報しますから。」
本当のことを言うと、手続きが完了することをしっかり確認して市内入りしたかったのだが、まるで追い払うかのような言い様だったので、仕方なくホテルに向かうことにした。
それにしても、エールフランス酷すぎる。
気が付いたから良かったが、もし気が付かずに最終日に空港で帰国のチェックインしようとしたら・・・ああ、想像するだけでも恐ろしい。このやろー。てめー。憶えてろよ。
チューリッヒ市内。雪が降ったり止んだり。
中央駅に到着。ホテルに向かう前に、駅前のスーパーに立ち寄る。もちろん下着類を買うためだ。
日本の安スーパーなら3着千円とか売っているが、ここではパンツ一丁1,800円、靴下一足1,200円とかする。高っ! そうだ。ここはスイス。物価高の国なのだ。ちくしょうめ、憶えてろよエールフランス。
ホテルに到着すると、既にエールフランスから連絡がきていたようで、レセプションの人が伝言をくれた。
「再予約は完了しました。新しい予約確認書をあなたのPCメールアドレスに送りましたので、確認してください。」
はっ????? もう二の句が継げない。
オレは今スイスにいるのに、どうやって自宅にあるPCのメールを確認するわけ??
ホテルの人がアドバイスしてくれる。
「Yahooとかグーグルとかだったら、インターネットでID入力してメールを受け取れるんじゃないの?近くのインターネットカフェを教えてあげるわよ。」
いや、たぶん私のメールはそういうこと出来ないと思います。(実を言うと詳しくは分からないのだが)
「しようがない。また空港に行こう。」
幸いなことにチューリッヒ国際空港は近い。電車で15分くらい。
だが、私の怒りは頂点に達した。空港に向かいながら、私は何度も何度も呟いた。「もう終わりだ。もう終わりだ。二度とエールフランスは利用しない。終わりだ。」
空港で予約確認書を手にし、晴れて解放されたが、結局午前の全てがブッつぶれ、昼食を取ったら、もう午後2時だった。オペラは午後6時半開演。もう何も出来ない。ホテルに戻って体を休めた。だが心は安まらない。私はまだ呟いている。「もう終わりだ。絶対終わりだ。クソめ。」収まりそうもない。
※ エールフランスファンの方、読んでいて気分を害するかもしれませんが、私は事実を報告しているだけですんで、あしからず。