大好きなオペラです。イタリアオペラの中で一番好きです。(いかんせんドイツ物好きなので、オペラ全体でランクさせると順位は下がってしまいますが・・)
名曲だと思う。音楽もストーリーも実にドラマチックだ。音楽はメロディーに満ち溢れていて、とても分かり易い。また、主役の3人に対してそれぞれに美しく印象的なアリアが備わっており、歌手の聴かせどころも十分。
なのに、これまたやっぱり国内ではあまり上演されないんですよねー。
私の知っている限りにおいて、ここ20年くらいで上演されたのは、藤原歌劇団とボローニャ来日公演と新国立劇場だけではないだろうか?どうして私の好きなオペラってあまりやらないんでしょう?ケチ。
ショスタコやプロコのオペラが滅多に上演されないのは分かる。だけど、シェニエはコテコテのイタリアオペラだ。
決して人気がないわけじゃないと思う。この曲が名曲であることは、おそらく多くの方の意見の一致するところだと思う。あのオペラ好きだったK元首相も大のお気に入りだそうだ。
にもかかわらずあまり上演されないのは、推測するに、作曲家の知名度ではないだろうか。ヴェルディ、モーツァルト、プッチーニなら誰でも知っているが、「ジョルダーノ」ですからねー。
この曲で一番好きな場面は、もちろん最終幕のクライマックスで崇高に「私たちの死は愛の勝利だ!」とデュオで歌い上げるところなのだが、実はもう一つ、第2幕でロベスピエールなどの政府高官が通りに現れて民衆が歓呼する場面の音楽がミョーに好き(笑)。ジーンときちゃうんです。だれか賛同してくれる人いないかな?
一方で、「なにこれ?変~。わかんない~。」というのもある。
それはカルロ・ジェラールの二つの心変わり。
最初はシェニエと剣を交じえておきながら、刺された瞬間に「シェニエ、逃げろ」。
次は、マッダレーナに「お前はオレの物だあ」と野獣剥き出しになりながら、「シェニエの命のためなら、どうぞ」と言われて「なんて深い愛なんだ」と萎んでしまう。
これらを「高貴なジェラールの心意気」という言葉で飾っちゃっていいのでしょうか??
なんか不自然で変だと思うのは私だけ??野獣剥き出しでトスカに殺されるスカルピアの方が私は好きだな(笑)。なんちて。すみません、冗談です。
最後に映像録画について。
スカラ座とウィーン国立歌劇場の両方でカルロ・ジェラールを歌っているピエロ・カプッチルリは、本当に絶品。彼は史上最高のジェラールではないかと思う。両劇場共に、第3幕の有名なアリアを歌い終わった後の観衆が大熱狂。延々と続く拍手を受け、舞台上のカプッチルリが照れ笑いを浮かべるというシーンが何とも感動的である。ご覧になっていない方は是非観てください。