クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2024/5/19 デュイスブルク(ライン・ドイツ・オペラ) イェヌーファ

ブレーメンを離れ、デュイスブルクへ。
電車で約1時間半の午前11時15分到着予定だったが、約15分遅れ。ま、この国の鉄道は、15分くらいは遅延のうちに入らない。

この日は日曜で、マチネーの午後3時にデュイスブルク劇場(ライン・ドイツ・オペラ)でオペラ鑑賞。このため、昼食を取ったら観光の時間はあまり無く、カフェでコーヒーを飲み、劇場付近を散策した程度。
元々観光ポイントも少ない街であり、特に紹介事項もないため、さっそくオペラの鑑賞記に入ろう。

 

2024年5月19日   ライン・ドイツ・オペラ   デュイスブルク劇場
ヤナーチェク  イェヌーファ
指揮  アクセル・コーバー
演出  タチアーナ・ギュルバカ
ジャックリン・ワーグナー(イェヌーファ)、ロジー・オルドリッジ(コステルニチカ)、ジョルジ・ストゥルア(ラツァ)、ジュシ・ミリス(シュテヴァ)、ステファニー・シェーファー(ブリヤ家のおばあさん)    他

 

イェヌーファは好きなオペラ作品なので、計画段階でこの公演を見つけた時は、「おっ!!」と思った。指揮だって、ドイツを中心に活躍し、それなりの知名度を持っているコーバーだしね。

ただし、演出がものすごく不安だった。
ギュルバカは、結構意味不明なことをやらかす、お騒がせ演出家。私もこの人が演出したオペラを1度観ているが、マジ最悪だった。

ところが、である。
今回のプロダクション、かなり‘まとも’だったのだ。
物語は1幕から3幕まで全て同じ舞台装置、一軒家の建物の中で展開される。
ここから解釈出来ることは二つ。
一つは、家という箱の空間が閉塞性を表していること。
もう一つは、複雑な家族構成、あるいは家族の風習やしきたりといった堅苦しさを、家が象徴していること。
この舞台には、こうした社会的な問題提起が込められていると思った。

また、最後のクライマックスシーンで、死んだ(殺された)赤ん坊が天使となり、坊やになって登場し、イェヌーファの下に降りてくる、という演出プランは、かなり感動的で素敵だった。

へえー、良いじゃん、やるじゃん、ギュルバカ。拍子抜け~。


歌手のレベルも、前日のブレーメン劇場より、一段グレードが上がった感じ。比較してはいけないのかもしれないけど、さすがに立て続けに聴けば、その差が如実に浮き出てしまう。

やはり何だかんだ言っても、劇場にはランクがあることを目の当たりにする。
これで次にミュンヘンやウィーン、パリに行くと、更にまたグレードアップを感じてしまうのだろう。仕方がないわな。

強い印象を残したのは、コステルニチカ役のロジー・オルドリッジ。
声がかなり強靭で、コステルニチカという特異なキャラクターを立派にこなしていた。カーテンコールでもブラヴォーがかなり飛び交っていた。
タイトルロールのジャックリン・ワーグナーも、清楚な歌唱が美しかった。


指揮のコーバーは、貫禄のどっしりとしたタクトで、盤石、安定感抜群。
ベテラン指揮者というのは、音符をいちいち全て振ろうとしない。全て振らなくても、音を引き出せるトリックがある。不思議なものですねえ。