クラシック、オペラの粋を極める!

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2023/5/18 死の都

2023年5月18日  ライン・ドイツ・オペラ
コルンゴルト  死の都
指揮  アクセル・コーバー
演出  ダニエル・クレーマー
コービー・ウェルシュパウル)、ナージャ・ステファノフ(マリエッタ)、マーラ・グセイノヴァ(マリー)、エンメット・オハンロン(フランク/フリッツ)、アンナ・ハーヴェイ(ブリギッタ)    他


私にとって「これをやるのなら、是が非でも観に行かなきゃ」というキラー演目の一つ、コルンゴルトの「死の都」。
残念ながら、日本では滅多に上演されない。(2014年3月にびわ湖と新国立で立て続けに上演されたのは、画期的な事件だった。)
だから、今回の鑑賞計画策定にあたり、デュッセルドルフでこの演目を見つけることが出来たのは、喜ばしいことだった。

本プロダクションは今シーズンの新制作のうちの一つ。4月から5月にかけて、まずデュッセルドルフで上演された後、6月に今度はお隣のデュイスブルクでの上演に移る。このように2都市で連続上演していくパターンがライン・ドイツ・オペラのやり方だ。


指揮のコーバーは、この歌劇場の音楽総監督。過去にバイロイトで、異なる2つのプロダクションの「タンホイザー」を振った経歴が光る。
また、2021年に二期会の「タンホイザー」を振るため来日が予定されていた。しかし、コロナによる外国人入国制限のため、来日が叶わなかった。来年2024年3月、二期会タンホイザー再演を組んでおり、今度は万全を期して改めての来日出演が予定されている。
コーバー、何だかタンホイザーの専門みたいだな。
いずれにしても、音楽監督または主席指揮者が振る公演を鑑賞する、というのは、意義があることだと思う。

そのコーバーのタクトによる音楽は、なんだかどっしりとして、ベタベタと重い印象。
ただし、得てしてこういう印象をいだく場合、自分が他で聴いた演奏(他公演や、自分が愛聴しているCDや映像等を含む)と無意識に比較していることが往々にしてあるので、一概にダメとは言えない。
それと、後で理由を述べるが、実は今回の演奏については、とてもじゃないが偉そうなことを言えないのである・・。


パウルを歌ったウェルシュ
9年前、デュイスブルクで「ワルキューレ」を鑑賞した際、そこでジークムントを歌ったテノールだ。
この時の印象としてはパッとせず、正直、良かったという記憶ではないのだが、今回は、若干粗さはあったものの、堂々と立派にパウルを歌い上げていて、少し見直した。
自分の鑑賞記録データベースで検索すると、更に遡って2005年、イタリア・モデナで「ナクソス島のアリアドネ」を鑑賞した際、チョイ役(ブリゲッラ)で出演していたことが判明。
成長の軌跡が伺えますなー。


マリーとマリエッタの二役は、瓜二つでありながら対極の性格で、これまで観たほとんどの上演では一人の歌手が二役を任され、表と裏の二面性を歌い演じていた。
今回は、分けて二人の歌手に役を付けていたのが特徴。
メインはマリエッタのため、同役を歌ったナージャ・ステファノフに注目してしまうが、一緒に歌う場面が多いパウルウェルシュの迫力がすごく、繊細な歌唱で勝負するステファノフは少々分が悪い。それでも、好演だったと思う。


演出のダニエル・クレーマーは、今年の2月に二期会が上演した「トゥーランドット」で演出を担当した人。トゥーランドットでは、日本の「チームラボ」が手掛けた目にも鮮やかなレーザー光線による視覚装置によって舞台を彩ったが、今回は真っ当な、ある意味フツーの演出。
特徴の一つとして、オリジナルのリブレットでは死んだマリーの思い出の品が「肖像画」なのだが、クレーマーは「マネキン人形」にして、より「形」で表していた。

ただねー、女性のマネキン人形を自宅に飾ってそれに偏執する男って・・・それって単なる変態(笑)。決して共感されません。

他にも、いくつか演出の特徴があったはずだが・・・。
上にも「偉そうなことを言えない」と書いたが、第二幕以降、睡魔に襲われてしまい、ずっとウトウト、下手すると完全に場面が飛ぶくらい寝てしまったという大失態。

あーあ、くそーーー。

もっとも、時差が7時間あるヨーロッパで、身体が慣れていない旅行の序盤、このように睡魔に襲われることは、これまでも何度もあったこと。生理現象で、これはもう仕方がないのだ。

だってさあ、開演時間の午後6時半って、日本の午前1時半だぜ!?
そりゃー、眠くなるわ。

ただ、一番上に書いたとおり、大好きな作品だっただけに、残念無念、悔いが残る。

明日以降、文字どおり顔を洗って出直しします。


以下の写真は歌劇場の建物だが、ここの劇場は外観的に全然パッとせず、イマイチ。