クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2016/5/2 カプリッチョ

2016年5月2日   アン・デア・ウィーン劇場
演出  タチアーナ・ギュルバカ
マリア・ベングッソン(伯爵夫人)、アンドレ・シューエン(伯爵)、ダニエル・ベーレ(フラマン)、ダニエル・シュムッツァール(オリヴィエ)、ラルス・ヴォルド(ラ・ローシュ)、ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー(クレーロン)   他
 
 
最近その名をポツポツと見かけるようになったベルリン出身の女性演出家、ギュルバカ。
以前に、日本の高名な某音楽評論家さんが彼女が演出したオペラを観て「理解も共感も同情もなし・・」と評していたのを思い出した。相当に意味不明な現代演出をやるのだろうなと推測し、覚悟して臨んだら、案の定!やっぱり。
 
とにかくね、もうね、まっっったくわかりません(笑)。
なので、どんな舞台なのか説明できません。
根底にこの作品の作曲時期「大戦の時代」であることを敷いているのは分かった。だが、それがどういう位置付けなのかは、分からない。抽象的なのか、具体的なのかも分からない。
 
多分、おそらくだが、意味を一つ一つ解明する必要はないんだと思う。分からなくても、別にいいんだと思う。
何か印象を残す。何か頭に思いつくものを作る。そこから観客の想像力を膨らませる。演出の狙いは、こうした想像のためのきっかけづくりなのかもしれない。
 
個人的に残念なのは、深遠のテーマ「音楽か、それとも詩か」について、まったくの無関心を装ったこと。
この作品が好きで、このテーマを巡るストーリー展開、音楽展開が好きなだけに、できれば真正面から取り組んでほしかった。
 
保守的な日本でこれが上演されたら、袋叩きにあうだろう。
もっとも上演されることなんて絶対にないんだろうけど・・。
 
見えたものがお手上げだったおかげで、その分聞こえるものに集中できたわけだが、指揮者ド・ビリーが作り上げた音楽は素晴らしかった。よくまああんな演出の中でこれほど艶のある音楽を導きだせるものだと、心の底から感心。
ド・ビリーは、来日してコンサートも振っているが、オペラの方が断然いいと思う。インテリジェンスがあり、舞台芸術に関する懐と視野が広いと感じる。安定感が抜群だ。