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2024/5/16 コンセルトヘボウ管

2024年5月16日   ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団    コンセルトヘボウ
指揮  セミョン・ビシュコフ
ヴィルデ・フラング(ヴァイオリン)
ドヴォルザーク   謝肉祭序曲
ショスタコーヴィチ   ヴァイオリン協奏曲第1番
ラフマニノフ  交響的舞曲

 

世界屈指のコンサートホールとして名高いコンセルトヘボウ。ここを訪れるのは、これで5回目。

わざわざ現地に行かなくても、コンセルトヘボウ管は日本に頻繁にやってきて、我々に名演奏を聴かせてくれる。
しかし、「このオーケストラの真価を聞きたいのなら、本拠地コンセルトヘボウで聴くべし」というのは、いわば定説。ホールの響きとオーケストラのサウンドは一体。切り離して語れないというわけだ。

前回2018年5月、ブルックナー交響曲第8番を聴くためにここにやってきた。ところが、これが大の期待ハズレだった。「あれー? コンセルトヘボウってこんな音だったっけ??」みたいなマイナス印象を抱いてしまった。
なので、今回は捲土重来。印象を何としてもポジティブに上書き更新したい、その思いでやってきた。


今回、前回の音の印象と随分と異なる。
もちろん、指揮者も曲も違うわけで、印象が異なるのはある意味当然だが、ここコンセルトヘボウ、座席、聴く場所によって聞こえ方、音の沸き立ち方が変わる。実は、あえて前回とは全然違う場所の席を選択してみて、そう気付いたのだ。
(前回は1階席後方、今回は前から4列目)

ビシュコフの音楽は、安定感が抜群。
原因として、まず、タクトがブレることなく明快に躍動し、オーケストラに安心と活力を与えるような動きをしているというのが一つ。
次に、音の作り方として、なんとなく低弦セクションをプッシュしている気がして、その結果、どっしりとした低い重心を感じさせること。
まあ、ショスタコラフマニノフなので、そういう曲といえばそれまでなのであるが。


コンチェルトを弾いたヴィルデ・フラングは、ノルウェー出身のヴァイオリニスト。日本にも来たことがあるし、ネットで眺めてみると、評判は良い。私は初めて聴く。

ステージに登場したお姿は、見かけ上はあまり華やかさがないが(衣装のせいかもしれないが)、演奏が始まった瞬間、会場の雰囲気をサッと変えるほどの鋭さに戦慄が走った。熱い演奏だが、感情的に力任せに弾いたりせず、常にクールに作品を見つめている姿勢も、とても感じが良かった。


ここコンセルトヘボウでは、お客さんの特徴がある。
どの曲でも(一曲目からでも)、どんな演奏でも、演奏が終わった直後からサッと起立し、演奏者に対しスタンディングオベーションすることだ。立ち上がるのがとにかく早い(笑)。
そのくせ、一通りのカーテンコールが終わり、場内が明るくなった瞬間、あっけなく終了となって、みんなそそくさと会場を後にするのであった。
(あっけなく終了となるのは、コンセルトヘボウに限らず、ヨーロッパ全般のお客さんの傾向でもある。)


会場内に置いてあった24-25新シーズンのプログラム冊子があったので、手に取り、パラパラとページをめくってみた。
目に飛び込んでくるクラウス・マケラの数々の写真とインタビュー記事。
首席指揮者の就任はまだ先の2027年からだというのに、もうこの扱い。来シーズンも、かなり多く指揮台に立つ。

オーケストラは、この俊英指揮者との将来が楽しみで仕方がないのだろう。
いよいよマケラの時代がやってくる!