クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

電車のトラブルに見舞われる

もうさあ、何で私は旅行でこう毎回トラブルに遭遇するんだろうね。
何なんだよ、いったい。マジで・・・。
3月22日、「シモン・ボッカネグラ」公演の行きと帰りのこと。


その1
空港近くのホテルからパリ・オペラ座バスティーユ劇場に向かっている時のことだった。
近郊鉄道R.E.Rで市内に向かい、北駅にて地下鉄メトロに乗り換える際、有効なはずの所持切符が突如自動改札の機械にはじかれてしまい、ドアが開かず、通り抜けることが出来なくなってしまった。
(※ 地下鉄メトロ内であれば、乗換えにあたって改札を通ることがなく、フリーで乗り継ぐことが出来るが、R.E.Rとメトロの相互間では、改札を通過しなければならない。)

パリでは近年チケットの電子化、ICカード方式の導入を図っているが、私が購入した「パリ・ヴィジット」という期間内乗り放題チケットは、今もまだ紙の磁気カード。この磁気データの読取りが不良になってしまったと思われる。

対処としては、駅の窓口にて不良チケットの磁気データを直してもらうか、もしくは新品と交換してもらうかだが、この北駅で係員のいる窓口、あるいはインフォメーションセンターが周囲を見渡しても見つからない。改札は完全無人化のため、駅員はいない。

現在午後6時半。バスティーユ劇場での開演時間が午後7時30分。北駅から劇場の最寄り駅までメトロでだいたい15分くらいなので、その移動時間を考えれば、ここでの猶予はだいたい40分くらい。それまでにトラブルの解決を図る必要がある。とにかく、駅員、窓口、もしくはインフォメーションセンターを探すしかない。

最初は速歩きで駅構内をウロウロと探し回ったが、北駅というのは国鉄のターミナルも備わる巨大駅で、デカくて簡単に見つからない。
そんな主要駅なら、窓口やインフォメーションセンターくらい普通にあって当然と思われるのに、これが絶望的に見当たらないのだ! なぜ!?

もちろん、人に聞いた。構内にあるお店の店員とかに。英語が話せない奴が多いから、スマホの翻訳機能で用件を入力し、フランス語にして、それを提示して聞いた。
だが、彼らの答えは実に要領を得ない。
「分からない」「あっちだ」「上の階だ」「たぶんこっちだ」・・・やれやれ。
まあ、店員だしな。駅員じゃないんだから。

時間が刻一刻と過ぎ、だんだんと焦ってくる。小走りになり、やがてマジで駆けずり回った。頼むぜよ、もう俺、いい年なんだぜ・・。

ようやくようやくオフィスを発見。ところが、そのオフィスはなんと改札の外にあった。私は改札が抜けられないので、そこにたどり着くことが出来ないのだ。

こうなったらもう、恥も外聞もない。私はその窓口方面に向かって、叫んだ。

「スィル・ヴ・プレーー!!!(プリーズのフランス語)  ヘルプ・ミーー!!!」

近年、これほど大きな声を出したことは記憶がない。
係員が気付いてくれ、こちらにやってきた。事情を話し、改札のドアを開けてもらい、オフィスに通され、そこでカウンターの案内番号の紙を渡された。
つまり、順番を待てと・・・。

オペラの開演時間(19時30分)が近づいている。この段階で、18時50分。待たされて、19時10分を過ぎたら、もうアウトだ。イライライライラ・・・。

19時5分、自分の番が回ってきた。待たされた15分は永遠のように長く感じられた。もうダメかもと諦めかけた。新たなチケットをもらい、ダッシュでメトロのホームへ。
19時25分、劇場到着。間に合ったぁ~・・・。いやー良かった。


しかーし、トラブルはこれだけではなかった。


その2
今度は帰り。やっぱり北駅だ。ったく呪われてるな、この駅。
ホームで空港方面の電車を待っていたが、なかなかやってこない。
普通はだいたい10分くらいの間隔で運行しているのだが、それ以上に待たされる。

オペラが午後10時半に終演となって、北駅に午後11時くらいだから、最初は深夜に差し掛かって、本数が減っているせいかも、と思った。

すると突然、構内の運行案内のモニター画面が赤色にチェンジ。フランス語による館内アナウンスが流れると、言葉を理解するフランス人たちが一斉にホームを離れ始めた。
英語のアナウンスは無し。呆然と立ちすくんでいるのは外国人だけだが、私も含め、すぐに状況を察知し始める。
トラブルによる運行停止だ。間違いない。

パリ市内と空港は、近郊鉄道R.E.Rの空港B線のほか、シャトルバスなども結んでいるが、こんなに夜遅くに今からバスの発着場所に移動しようという気はまったく起きない。(そもそも、こんな時間に運行しているのかさえも知らない。)

手段はただ一つ。タクシーだ。もうそれしかない。

翌日朝は早い。だからこそ空港に近いホテルを取った。こんなところでグズグズして、就寝が遅くなるのは嫌だ。

幸い北駅はパリの主要駅の一つなので、外に出れば、いくらでも待機している車がある。
もう一つ、良い点としては、空港とパリ市内において一律料金を設定していること。どのタクシーに乗っても、どういうルートでも料金は均一だ。(56ユーロ)
このため、ボッタクられる心配はない。

56ユーロは、痛いといえば痛い。日本円でおよそ9千円である。
でも、こういうトラブルの時にこそ、お金というのは価値を発揮する。惜しんではいけない。ここぞとばかりに使って、解決を図るのだ。普段はなるべく公共交通機関を利用し、ケチってタクシーを使わないが、だからこそこのタイミングで使うべきなのだ。

余計な出費だったが、こうして無事にホテルに到着した。
なんだかんだいって、タクシーは快適だ。ホテルの玄関まで送迎してくれるし。
だから、もう過ぎたことだし、「やれやれ、参った」などと決して悔やまない・・・。


トホホ・・・(泣)。