クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2024/3/22 パリ・オペラ座 シモン・ボッカネグラ

2024年3月22日   パリ・オペラ座   バスティーユ劇場
ヴェルディ  シモン・ボッカネグラ
指揮  トーマス・ヘンゲルブロック
演出  カリスト・ビエイト
ルドヴィク・テジエ(シモン)、ニコル・カー(アメーリア)、ミカ・カレス(フィエスコ)、チャールズ・カストロノーヴォ(ガブリエーレ)、エティエンヌ・デュピュイ(パオロ)    他

 

音楽的に秀でた演奏だった。これはなかなかの名演である。
やはり、キャストがいいのだ。
キャストが良ければ、総合的なレベルも向上して、結果素晴らしくなる。これ、オペラにおける自明の理。さすが天下のパリ・オペラ座

タイトル・ロールのテジエ。 ザ・主役!
フランスが誇る世界的な名バリトン。朗々とした歌唱、オーラのある貫禄と存在感。
見た目はちょっと老けたかな。おっと失礼なことを。

アメーリアのN・カー。
コロナが開けて昨年から海外鑑賞を再開したけど、そこから彼女の出演オペラによく当たる。
昨年5月にウィーンの「カルメル派修道女の対話」のブランシュ。10月にスカラ座の「ピーター・グライムズ」のエレン。
実は再来月の5月にウィーンに行く予定なんだけど、今度はそこでグノー「ファウスト」のマルグリート役を観る。
これだけ当たるということは、別に私との相性じゃなくて、彼女がそれだけ各地の一流劇場からオファーを受け、しっかりと活躍している、ということに他ならない。

そのカーが、今回抜群に良かった! 昨年のスカラ座でのエレンは、それほどのインパクトは感じなかったのだが、今回は見違えた。声に輝きと生命力が感じられた。私の評価は一気に瀑上がりになった。

ちなみに、パオロ役のデュピュイは彼女の旦那さん。デュピュイは6月のロイヤル・オペラ・ハウス来日公演でリゴレットを歌う予定。そのデュプイのパオロも素晴らしかった。リゴレットは期待が持てるぞ。


指揮のヘンゲルブロック。彼の指揮による公演の鑑賞は久しぶり。
これまでの彼のキャリアからヴェルディのイメージが沸かなかったが、いやいや、なかなかどうして。タクトも音楽も熱かった。オーケストラのコントロールも盤石、抜かりがない。

ビエイトの演出については、「まあ、特に」って感じか。
現代的な読替えは当然のこととして、特に目から鱗が出るような斬新さはなかった。戦艦の艦内を思わせるような3階建ての巨大なオブジェを回り舞台で回しながら、その周辺で人間ドラマを作っていくのだが・・なんだかそれだけという感じがしなくもない。


最後に、もう一つ特筆すべきこととして、パリ・オペラ座の合唱が本当に迫力があって素晴らしかった。この作品で思わず合唱に聴き入り、魅了されるというのは、あまりないんじゃなかろうか。