2024年3月14日 ウィーン交響楽団 サントリーホール
指揮 オメール・メイア・ウェルバー
ベートーヴェン 交響曲第8番、第7番
最近「外国人の名前の読み方は難しい」というブログ記事を書いたばかりだが、この指揮者の日本語の呼び方は何が正しいのだ?
今回の招聘エージェントJapan Arts社によれば、オメル・メイール・ヴェルバー。
前回の2010年に来日した「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」公演での表記では、オメール・メイア・ヴェルバー。
共通しているのは「ヴェルバー」だけど、Wellberの「We」を「ヴェ」と濁らせるのはドイツ語的特徴で、確かに独墺中心に活躍中だけど、でも彼はイスラエル人なわけで・・・。
もっともイスラエル人であっても、出自がドイツ系ならヴェルバーでもいいわけで、知ったかぶりで否定すると、墓穴を掘りかねない。とりあえず私は今のところ、自分がこれまで表記していた「オメール・メイア・ウェルバー」にしておく。
ということでウェルバー、そのサイトウ・キネン以来14年ぶりという久々の来日である。
(たぶん。間違ってたらごめん。)
私は過去に彼が指揮した公演を2回行っているが、両方ともオペラ。ピットの中で振っていた姿はよく見えなかった。
なので、彼のタクトをまざまざと見るのは、実質初めてだったが、こんな指揮なんだぁ!!
かなりのオーバーアクション、熱血ダンス系。
音楽は見た目じゃないんだから、指揮姿をどうこう言ってはいけないと分かりつつ、思わずクスッと笑ってしまったwww。
でも、それは要するに「全身で音楽を表現し、全身でオーケストラに要求している」ということに他ならない。
何を隠そう、一曲目の8番はちょっと裏目に出て空回りの印象を受けたのだが、一転して7番は、タクトと引き出された音楽が見事に融合。華やかな結晶と相成り、ウェルバー独自のベートーヴェン像が構築された。
まさに「音楽を作ってるなー」という感じ。
引き出しが多く、アイデアに溢れていて、ダイナミックな身体の動きによって創造された音がポンポンと花開いていく様は、なかなか鮮やか。
各楽章は、さながら大きな物語の中の起承転結。ウェルバーは、こうした場面を繋ぎ、物語を進行させながら、最後のクライマックスに向かっているかのよう。
となると、私なんかはつい「さすがオペラ指揮者の手腕、面目躍如」みたいに見つめてしまう。
オーケストラ・コンサートの指揮をしているのに、そうした先入観のような色をイメージのように当てはめられるのは、もしかしたら指揮者自身本意ではないかもしれない。
でも、個性や特徴が認められるのは良いことだし、しかもそれが叩き上げの業績から滲み出ているのだから、ここは一つ肯定的に受け取ってほしいもの。
なんたって、現在パレルモ・マッシモ劇場の音楽監督。2025年シーズンからは、ケント・ナガノの後任として、名門ハンブルク歌劇場の音楽監督。
前途洋々のオペラ指揮者であることは、間違いないのだ。