クラシック、オペラの粋を極める!

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2022/8/28 サイトウ・キネン・オーケストラ(セイジ・オザワ松本フェスティバル)

2022年8月28日   セイジ・オザワ松本フェスティバル
サイトウ・キネン・オーケストラ     キッセイ文化ホール(松本文化会館)
指揮  シャルル・デュトワ
宮田まゆみ(笙)
武満徹  セレモニアル-An Autumn Ode-
ドビュッシー  管弦楽のための映像
ストラヴィンスキー  春の祭典


3年ぶりの有観客公演となったフェスティバル、サイトウ・キネンのオーケストラコンサート。一昨年はフェスティバル自体が中止に追い込まれ、昨年は無観客・デジタル配信のみだった。
その昨年は、デュトワがわざわざデジタル配信だけのために来日。今年、ようやく本来の形であるお客さんを入れての公演が開催された。これは、オーケストラや事務局の皆さんだけでなく、デュトワにとっても感慨深かったのではないかと推測する。


さて、日本が誇るヴィルトゥオーゾ・オーケストラ、サイトウ・キネン。ステージ上は豪華な顔ぶれが居並ぶ。読響の小森谷さん、都響の矢部さん、そして豊嶋泰嗣さんという名コンサートマスター。彼ら3人が最前列に構え、コンマスを順番に交代で務めるという贅沢さ。管楽器は外国からの名手たちがずらり、ティンパニーは元ベルリン・フィルのゼーガース氏・・・。

壮観。すっげぇー・・・。

案の定、出てくる音が違った。はっきり分かる。
本当は、私なんかつい勘ぐりたくなる。
「こういう寄せ集めのオーケストラって、オケの個性、そのオケならではのサウンドの熟成という意味で、どうなのよ?」
しかし、ひとたび音を聴いたら、もう唸らずにはいられない。理屈なんか無し。上手いものは上手い。結局実力者が集えば、他をあっさり凌駕してしまう。ルツェルン祝祭管然り。
要するに、そういうことってわけ。


デュトワのハルサイを聴くのは、これで4回目だ。N響フィラデルフィア管、チェコ・フィル、そして今回のサイトウ・キネン
デュトワはフランス物を得意としているが、もしかしたら彼自身の真の十八番はストラヴィンスキーなのかもしれない。86歳とは思えない切れ味鋭いタクトがそう語っている。全身から自信が漲っている。

精巧な音楽作りはデュトワの真骨頂だ。オーケストラの機能性を引き出し、バランスや構成力を最大限に確保して、明晰な演奏効果を発揮している。

一方で、あくまでも個人的にそう聴こえてしまったのだが、あまりにも模範的で、教科書的な演奏と感じた。極めて優良、しかし決して羽目を外さず、爆演にはならない。このハルサイには爆演の素が潜んでいるというのに。デュトワが制御しているのだ。そこが若干物足りない箇所。あくまでも私にとって。
そういう意味では、いかにもドビュッシーらしい音の煌めきが炸裂した「映像」の方が、総合的な感銘度は上回っていたかもしれない。


この日の松本は日帰り。本当は一泊して、前日に沖澤のどかさんが指揮した「フィガロの結婚」も観たかった。しかし諸般の事情により断念。
諸般の事情というのは、要するに予算上の問題。ちょっと草津の一泊が余計だったか・・。11月の長野(30周年特別記念公演)も買っちゃったしなあ。
好き放題にチケットを買い、気ままに出かけているように見えるかもしれないが、ワタクシ実はちゃんと資金面をコントロールし、月給のお小遣いの範囲内で予算オーバーにならないようにセーブするところはしてますです、はい。