クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2024/3/10 東京フィル

2024年3月10日   東京フィルハーモニー交響楽団   オーチャードホール
指揮  アンドレア・バッティストーニ
合唱  新国立劇場合唱団、世田谷ジュニア合唱団
ヴィットリアーナ・アミーチス(ソプラノ)、彌勒忠史(カウンターテナー)、ミケーレ・パッティ(バリトン
レスピーギ  リュートのための古風な舞曲とアリア 第2組曲
オルフ  カルミナ・ブラーナ

 

バッティストーニ指揮によるカルミナを聴くのは、2度目である。
1度目は、2018年3月。新宿文化センターと同センター合唱団の主催による演奏会だった。オーケストラはもちろん東京フィル。カウンターテナーの彌勒さんは、この時も出演していた。

「カルミナをバッティの指揮で是非聴きたい」とかねがね思っていて、前回その願いが叶って大満足の公演だったが、要するに、カルミナはバッティにうってつけの作品なのだ。
なぜなら、彼のタクトが常に情熱的であり、圧倒的な頂点を築く力を持っているから。そのパワーは、カルミナのような歌付きの大規模作品の演奏において、より一層光り輝く。

そのこと自体は、この指揮者の個性を知る人なら誰でも容易に察しがつくわけだが、実を言うと、それだけではない。他にもアドバンテージがある。
第一に、彼の特徴として、音楽を物語化することに長け、オペラのようなドラマ風に仕向けることが出来るという点。
第二に、作品の言語をしっかりと踏まえることが出来る点。
ラテン語イコールイタリア語ではないが、少なくとも肌感覚で捉えていることは絶対に間違いない。

かくして、演奏は完成。指揮者が思い描いた曲想、フレーズ、ニュアンスは整備され、再現され、「バッティストーニのカルミナ・ブラーナ」の出来上がりだ。音楽は沸き立ち、聴衆はもちろん熱狂する。


一点、個人的に物足りなさを感じるのが、合唱の物量だ。
明らかに以前に比べて、揃えられている人数が減っている。質や精度については何の不満もないが、人数と声の圧は単純比例するから、その分迫力は失われる。これはあくまでも「以前に比べて」という比較の問題であり、更に、本公演、あるいは演奏作品に限らない。

コロナの後遺症ということか。
あるいは、産業構造に見られるような人手不足問題、もしくは人件費抑制の影がコンサートにも忍び寄っているのであろうか・・・。
だとしたら、寂しい。