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2021/11/14 東響

2021年11月14日   東京交響楽団   ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮  クシシュトフ・ウルバンスキ
合唱  新国立劇場合唱団、東京少年少女合唱隊
弓新(ヴァイオリン)、盛田麻央(ソプラノ)、彌勒忠史(カウンターテノール)、町英和(バリトン
シマノフスキ  ヴァイオリン協奏曲第1番
オルフ  カルミナ・ブラーナ


ウルバンスキが東響を振ったのを私が初めて聴いたのは、2011年6月。シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第2番(ソロ:諏訪内晶子)、メインがショスタコーヴィチ交響曲第10番というプログラムだった。

今でも覚えている。実に鮮烈な演奏だった。
「あれからもう10年も経ったのか・・・」
何だか感慨深い。

彼が東響を初めて振ったのは、これよりも更に2年前の2009年だという。
つまり東響は、当時まだ20代そこそこだったこの若き俊英に大いなる可能性と魅力を見出し、以後、何年かに一度ずつのタイミングで招聘を続けてきたのであった。

これはなかなか目ざといと言えよう。
私自身も、この若者がただならぬ才能を秘めていることは、その時感じ取れた。「どこかに持っていかれる前に、今、唾つけちゃえ!」と、当時のブログに書いたのだった。

10年経ってもまだ30代の若さということもあって、切れ味抜群のタクトは相変わらず健在だ。一言で言い表すのなら「冴え」。

特に、カルミナの扱い方、音楽の作り方が絶妙絶品で、唸る。
ご存知のとおり、この曲は合唱が肝となっていて、ある意味、声の迫力を駆使して賑やかに表情豊かに演奏しさえすれば、血沸き肉踊り、聴き手のハートはバッチリ捉えられる。

ところが、コロナの影響で、こうした大合唱団を揃えられない。

こうしたピンチに動ぜず、むしろチャンスに変換できるのが、ウルバンスキの才能であり実力だ。
大きいとは言えない合唱の編成に合わせてオーケストラのバランスを緻密に整えながら、精度を上げ、ニュアンスを巧みにしてコントロール
効果はてきめんで、各声部がくっきりとクリアに浮かび上がる。
一方で、迫力を削ぐことなく、パンチの効いたダイナミクスを繰り広げる。
実に見事な仕事ぶりであった。


それにしてもカルミナ・ブラーナ、本当にいい曲。なんて楽しいんだろう。
大合唱作品の演奏が困難な中、安易に曲目変更せず、よくぞやってくれた。大感謝。
きっと主催者・関係者は、厳しい状況下であっても「ウルバンスキなら、なんとかしてくれる。制約の範囲下でも必ず仕上げてくれる」という信頼を寄せていたのだと思う。


コンチェルトを演奏した弓新さん。
最初、中国人キュー・シンさんかと思ったよ(笑)。
「ゆみ」さんだなんて、ヴァイオリニストとして出来すぎ。本当に本名?
なんて失礼なことを言ってごめんなさい。
この日の演奏、ソリストとしての強烈なオーラはあまり感じなかったけど、シマノフスキ作品の良さを感じることが出来た。
私の場合、「ああ、いい曲だなあ」と作品の魅力を感じ取ることが出来た時、それはすなわち良い演奏だったと認めることにしている。
よって、オーケー、ブラヴォー。