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2024/3/3 新国立劇場オペラ研修所 カルメル派修道女の会話

2024年3月3日   新国立劇場オペラ研修所    新国立劇場中劇場
プーランク  カルメル派修道女の会話
指揮  ジョナサン・ストックハマー
演出  シュテファン・グレーグラー
管弦楽  東京フィルハーモニー交響楽団
佐藤克彦(侯爵)、冨永春菜(ブランシュ)、城宏憲(シェヴァリエ)、前島眞奈美(クロワシー修道院長)、大髙レナ(リドワーヌ修道院長)、大城みなみ(マリー修道女長)、渡邊美沙季(コンスタンス)    他

 

新国立劇場オペラ研修所は、過去にもこの難しいフランス語作品を採り上げ、上演している。
2009年3月。今回と同じく、中劇場で、指揮者と演出家を海外から招き、オーケストラをピットに入れての(ピアノ伴奏ではないという意味)本格的オペラ公演だった。


「研修所」というその名のとおり、当団体はオペラ歌手を養成する機関だ。出演者は、これからプロ歌手として羽ばたいていこうと研鑽を積んでいる人たちであり、そういう意味では、真のプロ興行とは言えないかもしれない。もしかしたら、「発表会」の意味合いが含まれている。聴き手も、そうした狙いや目的を理解した上で鑑賞しなければならないのかもしれない。

だが、申し訳ないけど、私はそんな風に大目に見るつもりはない。注目しているのは、純然たる上演の出来具合であり、芸術的成果。そして、普通に感動を求めている。

その観点で本公演の感想を述べると、水準として全然満足出来ない。「そんなの当たり前じゃんか、仕方ないじゃんか」という意見には、わりいけど耳を貸さない。

出演歌手の中では、マリー修道女長を演じた大城さんが、将来性を感じた。
あとは・・・・。

二日前に脇園さんの歌唱を聴いた後だったからなのか・・・。
比較するつもりは決してないのだが、無意識にそうなっていたとしたら、ごめん。


演出については、限られた予算の中で、よく見せてくれたと思う。
舞台は簡素だが、廻り舞台とその中央に設置した木組みを利用し、場面を効果的に作っていた。
その中央にある木組みというのがポイントで、部屋の柱であり、窓枠であり、ドア、出入口でありながら、社会から隔絶した修道院内との狭間、境界を象徴。最後はこの木枠が断頭台にもなって、修道女たちがここをくぐり、殉教として散っていくのが、とても印象的だ。

絶賛というほどの演出ではないが、少なくともこの心揺さぶるラストシーンに関しては、昨年5月にウィーン国立歌劇場で鑑賞したM・フックスベルガー演出版より遥かに素晴らしい。