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2023/12/10 二期会(読響)

2023年12月10日   二期会   東京芸術劇場
上岡敏之東京二期会プロジェクトⅠ》
指揮  上岡敏之
管弦楽  読売日本交響楽団
合唱  二期会合唱団
盛田麻央(ソプラノ)、富岡明子(メゾ・ソプラノ)、松原友(テノール)、ジョン・ハオ(バス)
ストラヴィンスキー  詩篇交響曲
モーツァルト  レクイエム

 

タイトルのとおり、指揮者上岡敏之東京二期会で、コラボレーションによるプロジェクトを立ち上げるという。
その第一弾が今回のコンサート。
上岡さんが二期会公演を振るのは初めてだといい、初めてなのに、いきなりシリーズ企画を作るというのも、なんだかな感じがしないでもない。通常なら、まず共演があって、お互いの好感触があって、方向性ややりたいことが一致して、それで話が進む、みたいなのが順当だと思うが・・・まあいいでしょう。外野がつべこべ言うのは野暮。


今回、せっかくのそうしたプロジェクトに加え、二期会創立70周年記念公演の一環でもあるというのに、お客さんの入り悪し。半分も入ってないのではないか。
何でだろね。
二期会というブランドそのものがそれほど強くない現れなのか、オペラじゃない二期会に集客力が無いのか、それとも会場やプログラムの選定がイマイチだったのか・・。

私なんかは、少なくともプログラムは良い曲の組み合わせだと思うけどな・・。


詩篇交響曲
なかなか演奏されない作品だが、珍しいことに今年10月にも東響で演奏され(沖澤のどか指揮)、続け様での鑑賞となった。
この東響の公演でも二期会は合唱で参加しており、そういう意味では既に手中に収められていたと言っていいかもしれない。
優劣による比較をするつもりはなく、それぞれの演奏の特性という意味で、東響では、輪郭を丁寧に整えるデッサン画のような演奏だった。
これに対し、本公演では、目鼻立ちがくっきりと加わった立体的な演奏だった。もちろん、それぞれにおいて指揮者の解釈と音楽作りが大きく物を言っているのは間違いない。


モーツァルトのレクイエム。
この作品でも、上岡さんらしい演奏が色濃い。
ヴィブラートを抑え、古楽的アプローチというか、モーツァルトの時代を考証した奏法が溌剌にして鮮烈。そこに、詩篇の演奏でも見られた目鼻立ちを加えるようなアクセントで、パンチを効かせる。
終演後、「X」などSNS上で、「テンポ早め」「サクサクと」みたいな感想を多く見かけたが、私はまったく気にならなかった。むしろ、古楽演奏の流儀やトレンドに沿った穏当妥当なテンポ設定だったと思う。


さて、本公演と同時にプロジェクトの第二弾が発表され、それによると、来年9月「さまよえるオランダ人」のオペラだそうだ。
上岡さんは、日本だとコンサートしか聴けないが、ヘッセン州立歌劇場、ヴッパータール市立歌劇場、ザールランド州立歌劇場の音楽監督などを歴任した生粋のオペラ叩き上げ指揮者である。楽しみにするとしよう。