クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/6/24 東響

2023年6月24日  東京交響楽団   サントリーホール
指揮  ミケーレ・マリオッティ
萩原麻未(ピアノ)
モーツァルト  ピアノ協奏曲第21番
シューベルト  交響曲第8番 ザ・グレート


待望のマリオッティが2011年以来2度目の来日。めでたい。本当は2020年12月、東響を振る予定だったが、コロナでキャンセルになってしまった。

今回の公演は、本来振る予定だったその時のプログラムと一緒なのだ。
演奏家というのは、その時々によって取り組んでいる作品は違うし、やりたい作品も変わってくるだろう。
だというのに、あえて同じプログラムにしたのは、オーケストラ側の要望だったのか、それとも指揮者の義理固い人情、律儀な性格の故なのか。

まあどちらでもいい。
そんなことより、私はマリオッティの「コンサート」を聴いてみたかった。彼のタクトによる公演をこれまでに8回聴いているが、いずれもオペラであった。
典型的な劇場マエストロ。
だが、私は彼の振るオペラを聴きながら、「交響曲管弦楽曲だって、絶対にいける」と睨んでいた。それは、オペラにおいて、決してピットのオーケストラを単なる歌の伴奏にせず、あらゆる音を拾い上げ、丁寧に紡いでいることを聞き取っていたからだ。


今回の演奏は、まさに予想どおり。
改めて思う。この指揮者、有能なり。
有能なんてもんじゃない。私は確信を持って、思い切り断言してしまう。
「シャイーの次は、マリオッティだ!」
世代的に言うと、彼の上にはD・ガッティやF・ルイージ、G・ノセダなどがいるが、彼らに比べてマリオッティに足りないものは経験年数だけ。才能は決して劣らない。ならば、一足飛びに越えてしまえ、である。

彼のタクトを見るがよい。しなやかで卓越した棒さばき。ヒュンと手を回すと、次の瞬間、音に生命の息吹が宿り、光り輝く。「音楽はタクトの先から生まれる」とは、まさにこのことだ。フレージングは躍動し、旋律は明るく歌う。各パートの演奏すべてが彼の耳に聴こえており、どの音も大切に拾い上げ、丁寧にバランス配置する。なんという素晴らしい指揮者!


今回、ミケーレ・マリオッティという指揮者を初めて知った方、あるいは彼の才能を鋭く見抜いた方。次、9月に彼は手兵ローマ歌劇場を率いて、再度やってくる。本物のオペラの愉悦というものを、彼が必ずや教えてくれよう。必見必聴。

ちと高いけど(笑)。