2023年9月22日 読売日本交響楽団 サントリーホール
指揮 ギエドレ・シュレキーテ
エマニュエル・パユ(フルート)
チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
サン・サーンス オデレット、ロマンス変ニ長調
シャミナード フルートと管弦楽のためのコンチェルティーノ
バルトーク 管弦楽のための協奏曲
指揮のシュレキーテは、過去に2回、二期会の「魔笛」、バイエルン州立歌劇場の「後宮からの誘拐」と、オペラで聴いている。この二つのモーツァルト、とても切れ味が良く、鮮やかだった。
今回は、チャイコやバルトークなど、よりダイナミックかつ機能性の優れる管弦楽法が駆使された作品が並んだので、とても期待を寄せたコンサートであった。
チケットは完売。まあこれはシュレキーテというより、パユ殿目当てのお客さんが多かったからと思われる。
シュレキーテのタクトは、モーツァルトの時と同様、颯爽、溌剌として、とても動的だ。スコアの読込みも不足がなく、その読み込んだ音符に生命力を吹き込みながら、オーケストラに合図をしていく。その立ち振舞いは堂々として、清々しい。
だが・・・その割には引き出される音楽のパワー、突出するようなエネルギーが感じられない。なんだか全般的、平均的な演奏に聴こえた。
オーケストラの問題だったのだろうか・・。
一頃の「上手いんだけど、イマイチ燃えない優等生」のN響のような・・。
(昔の話ね)
そういうことも含めて、最終的な演奏の責任を取るのが指揮者だというのなら、シュレキーテさん、今回は「もう少し頑張りましょう」になる。
あくまでも個人的な感想だが、彼女の音楽作り、オーケストラへの指示とリードが、「まんべんなく8割」のように感じた。たぶん、上に書いたようにスコアの読込能力は高いがゆえに、全部の音を拾い上げたくなるのではないか。
捨てる部分を作り、プレーヤーに任せる部分を作り、凝縮してピークに持っていく部分を作っていけば、もう少し音楽の起伏が大きくなるのではないか。
偉そうなことを言って、ゴメン。
本公演のハイライトは、結果として、やはりパユ殿の超絶的に上手いフルートになった。
大多数の聴衆の見立ては正しかった。