クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

女性コンサートマスター

来日したベルリン・フィルの東京公演では、2人のコンサート・マスターが2つのプログラムを分け合った。
ヴァイオリン・ソロが大活躍する「英雄の生涯」のプログラムでは、樫本大進が担当。これは、日本のファンに向けたサービスの一面も、きっと含まれているはず。

そして、もう一つのプログラムでコンマスを担当したのが、ベルリン・フィル史上初の女性コンマスとしてニュースになった、ヴィネタ・サレイカ・フォルクナーさん。正式就任が今年の4月からということで、日本に初披露、初お目見えになった。

私はコンマス就任のニュースを伝え聞くまで彼女の名前を知らなかったのだが、ラトヴィア出身、アルテミス弦楽四重奏団のヴァイオリン奏者で、室内楽に詳しい人たちの間では既に有名だったらしい。また、略歴を見ると、ロイヤル・フランダースフィルハーモニーのコンサート・マスターを務めていた時期もあった模様。


サントリーホールに登場し、最前列で演奏する彼女を拝見したが、「女性」という枕詞、肩書がまったく不要なくらい凛々しく、堂々として、バリバリと弾きながらオーケストラを牽引するその姿は、まじクールでカッコ良かった。
サブ・アシストとして隣で弾いていた大進クンが、癖というかスタイルなんだろうけど、ちょっと前傾で下向き加減なのに対し、サレイカさんが胸を張るように演奏するので、なんだか軍配が上がっちゃったみたいに見えました(笑)。
あ、単に見た目だけですから、あしからず。


女性コンサート・マスターとしては、既にウィーン・フィルにおいて、アルベナ・ダナイローヴァさんが先行で活躍中。これで、世界の二巨塔オケに女性コンマスが誕生したことになる。女性にとって素晴らしいことだろうし、女性ヴァイオリニストにとって、はっきりと目標、目指すべき人が出来たということで、画期的だろう。


ドイツの中で見ると、このほか、ベルリン・コンツェルトハウス管に日下紗矢子氏、ミュンヘン・フィルに青木尚佳氏、ベルリン州立歌劇場(シュターツカペレ・ベルリン)に有希・マヌエラ・ヤンケ氏など、日本人系の躍進ぶりが目立つ。マヌエラ・ヤンケさんは「第一」という肩書ではないけど、その第一コンマスには韓国人のイ・ジユン氏がいて、彼女の存在価値もオーケストラの中で抜群だとの噂。

いずれにしても、「日本人、アジア出身」とか関係なく、女性コンマスはこれからも世界のオーケストラで次々と誕生していくに違いない。


日本では、大谷康子さんが草分け的存在。最近では、葵トリオの小川響子さんが、来年4月から名古屋フィルコンマスに就任することが決まった。
これで、一番の老舗のN響に女性コンマスが加わると、きっと新たな時代に突入する感じがすると思う。遅かれ早かれ、その時はやってくるだろう。