クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2021/1/7 樫本大進 キリル・ゲルシュタイン デュオリサイタル

2021年1月7日   樫本大進 キリル・ゲルシュタイン デュオリサイタル   ミューザ川崎シンフォニーホール
プロコフィエフ   5つのメロディ
フランク   ヴァイオリン・ソナタ
武満徹   妖精の距離
ベートーヴェン   ヴァイオリン・ソナタ第9番 クロイツェル


まず、本公演の前に、二期会主催の「サムソンとデリラ」コンサート形式上演に行っているのだが、鑑賞記事は省略させていただくことにした。理由は、ネガティブな感想を書き連ねるのが嫌だから。すみません。

そういうことで、樫本大進クンである。言わずとしれたベルリン・フィルの第一コンサートマスターである。ドイツ在住なので、外国人と同様に2週間の隔離を受け入れての来日だ。

隔離期間と国内演奏ツアーを合わせると1か月くらいの滞在になるはず。その間、肝心のベルリン・フィルのお仕事はどうなのか、と心配してしまうが、ドイツも現在ロックダウンの真っ最中。日本では感染対策の徹底を前提に演奏会が行われているが、ドイツでは軒並みキャンセル(※)という状況なので、それならば日本でお仕事をした方がまだましという判断が働いているのかもしれない。
(※ ベルリン・フィルに関しては、恒例の12月31日のシルベスター・コンサートのほか、いくつかのコンサートも無観客によるライブ配信演奏を行っているので、まったく仕事がないというわけではない模様。)


さて、私は何を隠そう、大進クンの演奏、これまで室内楽やコンチェルトのソロで何度も聴いているが、リサイタルは本公演が初めて。じっくりと集中して彼のヴァイオリンに耳を傾けたわけだが、いやはや、さすがと言いましょうか、本格的な演奏に思わず唸ってしまった。

音色はブリリアントであり、演奏からは大胆さ、実直さ、ひたむきさが伝わってくる。ピアニストとの呼吸もばっちりで、そこらへんは日ごろからアンサンブルを統率する責務を担っている役割が出ている感じがした。

世界最高のオーケストラのコンマスの実力は伊達ではないわけだが、というよりも、「コンサートマスターのソロ活動ではなく、コンマス稼業もやっている優秀なソロ・ヴァイオリニスト」と言い表したいくらいの見事さなわけである。

逆に言えば、「こんな優秀なソロ・ヴァイオリニストを団員に抱えているベルリン・フィル、恐るべし」と言い換えることも可能なわけであるが。


ちなみにちょっと言っておくが、私自身は彼の活躍について「日本人として素晴らしい」、「日本人として誇らしい」などというエンパシーはまったくありません。日本人はそういうのが大好きだけどね(笑)。