クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/11/26 レザール・フロリサン

2023年11月26日  レザール・フロリサン   東京オペラシティコンサートホール
指揮  ウィリアム・クリスティ
管弦楽&合唱  レザール・フロリサン
バッハ   ヨハネ受難曲
バスティアン・ライモンディ(テノールエヴァンゲリスト)、アレックス・ローゼン(バス・イエス)   他

 

世界的な古楽演奏団体レザール・フロリサンが、本公演たった1回の演奏会のために来日。
なんとまあ、もったいない。
それとも、中国、韓国などと組み合わせたツアーだったのだろうか。よく知らんが。
どっちにしても貴重な公演であると同時に、私にとって11月の外来オーケストラ公演ラッシュの締め括り。(NDRエルプ・フィルは行かない) なんかフェスティバルみたいな一週間だったな・・。

ゴージャスなコンサートが続いたが、こうして古楽によるバッハを鑑賞すると、つくづく原点に戻った感じで、厳粛かつ清楚な気持ちになる。

クリスティが自ら創設したレザール・フロリサンの演奏は、バッハらしい宗教性と深い理念を湛え、アンサンブルとしても叙情的で美しく、心に染みる。
指揮のクリスティも、結構なお年だとは思うが、矍鑠としてタクトは揺るぎがなく、一定の様式を保ちながら、粛々と物語を紡いでいく。


かのごとくバッハを通じながら、キリストの受難の物語を辿ってみると、なぜ世界の多くの人々が宗教として神に心を寄せるのかが、なんとなくだが分かるような気がする。

エスは、罪を犯したわけではない。真理を語り、愛をもって神を信じよと説き、人々の心を掴んだ。しかし、そうした行いが危険分子とみなされ、死罪を宣告されて、磔刑にされる。
エスはそれを受け入れ、ていうか最初からその運命を知っていて、身代わりとなってすべての人の罪を背負い、死んでいく。

このイエスの寛容さと残酷な悲劇の二面性が、人の心を強く揺さぶるのである。

コンサートでは、ここに更にバッハの偉大な音楽が加わってくるのだ。
キリスト教信者ではない我々でさえ猛烈に感動し、思わず目頭が熱くなるのは、当然のことだろう。