クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/10/22 オリー伯爵

ボローニャ市立歌劇場は、来日公演がもうすぐだ。初日は11月2日なので、指揮者も歌手もオーケストラも「これからまもなく日本に向かう」くらいの感じだろうか。

その日本公演直前、現地ボローニャの公演を鑑賞。
「日本に来るのに、わざわざ現地で観なくても」とおっしゃる皆さん、いえいえ、演目が違います。「オリー伯爵」でっせ。日本で待っていても観られない作品ですよ。だから行くんです。


そういうわけで本公演のチケットをネットで買ったは良かったが、そこで重要な事実を知らされた。上演会場が、通常の本拠地とされる伝統の馬蹄型のコムナーレ劇場ではなかったのだ。
会場は「comunale nouveau」。nouveauというのは「新」という意味なので「新ホール」になるが、はっきり言って、普通の多目的ホール

劇場のホームページでチェックしたが、同劇場での上演予定は、少なくとも発表されている2024年中まではこのコムナーレ・ヌーヴォーになっていた。
詳細不明だが、従前のコムナーレ劇場は改修中なのだろうか。考えてみれば、劇場改修中の間に引っ越し公演を組むというのは、よくあることだ。

2023年10月22日   ボローニャ市立歌劇場
ロッシーニ  オリー伯爵
指揮  オクサーナ・リーニフ
演出  ウーゴ・デ・アナ
アントニーノ・シラグーサ(オリー伯爵)、サラ・ブランチ(アデル)、ダヴィデ・ジャングレゴーリオ(伯爵の教育係)、ラミーア・ブーケ(イゾリエ)、ニコラ・アライモ(ランボー)   他


当劇場にとってニュー・プロダクションだが、ロッシーニ・オペラ・フェスティバルとの共同制作。
何だかそのことだけで、嬉しくなってウキウキする。ペーザロに行かなければ観られないものが、こうしてボローニャで観られる。そして、ペーザロで制作されたプロダクションなら、間違いない。

デ・アナ演出のオペラを観るのは久しぶり。シリアスな物を作るイメージのデ・アナだが、とんでもない、底抜けに明るく、存分にはっちゃけた、めっちゃ楽しい舞台だった。

読替演出だが、特定の現代の場所、時間というより、どこか架空の南国リゾートで繰り広げられるドタバタみたいな感じ。全編に渡って歌手も含めてダンスの動きを採り入れ、衣装は眩しいくらいにカラフル。コミカルさで観客を湧かせる場面も多々あり、とにかく楽しさ満載。そうそう、ロッシーニのブッファはこうじゃなきゃ!


指揮者のリーニフ。7月のベルリン州立歌劇場での「メデー」に続き、またも海外で彼女が指揮する音楽を聴く。
とても几帳面なタクト。ロッシーニの音楽も、デ・アナの演出も、ぶっ飛んでるのだから、もっと緩く遊んでもいいような気もするが、でもこれが彼女の持ち味なんだろうな。振舞いそのものは自信に満ち、堂々としていて、音楽監督の風格も漂っている。
日本公演では「トスカ」の指揮を担当。残念ながら、私はもう一つの演目「ノルマ」の方に行くので、日本で彼女の指揮を拝むことは出来ないが、成功を祈りたい。むしろ、ロッシーニより「トスカ」の方が彼女には合っている気がする。


ロッシーニ歌手の大スター、シラグーサ。日本にも何度も来たことがあってお馴染みだが、最近はコロナ期間があったこともあり、ご無沙汰。でも、朗々とした美声、轟く高音は健在だった。演技も上手く、彼が舞台に登場すると、一気に華やいだ雰囲気になる。

もう一人の主役サラ・ブランチは初めて聴いた。その名前から英米系かと思ったが、スペイン人とのこと。輝くようなコロラトゥーラが絶品。
ランボー役のニコラ・アライモ、彼の歌唱はこれまでにも何度も聴いているので、新たな発見はなく、いつものアライモという感じだったが、恰幅の良い大きな体を使ってのコミカルなダンスが可笑しくて、お客さんにとてもウケていた。