クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

世界の音楽監督事情

先月、東京ではムーティが来日して素晴らしい演奏を披露し、それ以外にもN響都響、東響、日本フィルなどがそれぞれ実力を見せつけて、コロナにも関わらず、連日の賑わいを見せた。
そんな中、一方で世界に目を向けると、いくつかの注目すべきニュースがあった。

まず、国立パリ・オペラ座の次期音楽監督にグスターヴォ・ドゥダメルが就任するという発表は、大きな話題となった。

まだ40歳ながら、既に世界的な名指揮者の一人に数えられているドゥダメル。決してオペラの叩き上げではないものの、実績は十分、実力は折り紙付き。パリ・オペラ座は、世界が認めるこの若き天才の招聘に成功して、さぞかし鼻高々だろう。
ドイツ系にもイタリア系にも染まっていないのは彼の強みであり、そのことを活かして様々なレパートリーを手掛けていってほしいと思う。


イギリスでは、ロンドン響がサイモン・ラトルの後継として、アントニオ・パッパーノを迎え入れることを発表した。

ラトルがロンドン響との契約を更新せず、あっさりとミュンヘンに移っていったのは、意外だった。ベルリン・フィルの大役を終え、故郷のイギリスこそが彼の最後の到達点だとばかり思っていたからだ。
やはり、ブレクジットの影響が大きかったのであろうか。

世界のトップ・オーケストラの一つであるロンドン響からしてみれば、国籍を問わず、世界中の実績のあるシンフォニー指揮者の中から釣り上げることも可能だっただろう。
にも関わらず、あえて国内にいたオペラの叩き上げ指揮者を選択した。こちらは、パリ・オペラ座と対照的だ。
ローマ・サンタ・チェチーリア管とのコンビによる実績も踏まえ、シンフォニーでも十分に行けると判断したロンドン響とのコラボは、これからお手並み拝見といったところか。

パッパーノを引っこ抜かれたロイヤル・オペラ・ハウスは、後任を見つけ出す必要に迫られている。

有力として誰もが予想するのは、グラインドボーン音楽祭音楽監督のロビン・ティチアーティであろう。現在のグラインドボーンとの契約がいつまでになってるのかは知らないが。
個人的には、ボローニャとの契約が終了しているミケーレ・マリオッティなんか、いいと思うけどな。


同じくパッパーノの後任を見つけなければならないサンタ・チェチーリア管は、ローマの地元紙の情報(噂?)として、ダニエレ・ガッティの名前が上がっているそうだ。
そして、そのガッティがもしサンタ・チェチーリア管に移る場合、ローマ歌劇場がガッティの後任として目を付けているのが、マリオッティという情報も・・。

まあ、こうした情報や噂の類は、実際に決まって正式発表されるまでは単なる憶測の域を越えないわけであるが。

いずれにしても、世界の音楽監督人事というのは、玉突きのように動きを見せていく。コロナが落ち着き、コンサートやオペラの上演が再開されるようになれば、ますます活発になっていくことだろう。