クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ステファン・グールド2

健康状態を理由に引退を表明したステファン・グールド。突然の残念な発表に対し、私は以前のブログ記事にて「健康状態の回復に努めていただき、もし万が一、従前の体調を取り戻し、気力が萎えていなかったら、是非舞台に戻ってきてください」と書いた。

その後、彼自身のウェブサイトにて追加の発表があり、実際の状況が明かされた。
胆管がんであるという。しかも、致命的な病気で、治療法が無く、余命宣告を受けているという。
なんということであろうか・・・。
(a fatal disease with an outlook of several months to 10 months. There is no cure.)

回復したらまた舞台に戻って・・・なんて、軽々しく言ってしまったことを思わず悔いてしまう深刻な状態、そして余命宣告。この続報は、私もショックを受けた。

もちろん、その事実の受容が一番大変だったのは、御本人であろう。勇気を持って公表したグールド氏の決断に、心から敬意を表したい。


病気で死を宣告されるのは、人生の中で最も厳しい試練の一つだろう。
一方で、グールドはアメリカ人であり、アメリカはキリスト教の国なので、簡単ではないにしても、もしかしたら「神様の下に行ける」と、穏やかに納得できるかもしれない。できれば、そうであってほしい。

こんな個人的なブログ記事で書いたところで、本人に届かないことは十分に承知しているし、何の慰めにもならないが、僭越ながら自分に置き換えて、心の整理について述べてみたい。

人間、皆必ず死を迎えるわけである。私だって、いつかそういう場面に直面する時が来るかもしれない。
実際にそうなった時、まずはショックを受け、恐怖に駆られ、泣きたくなるだろう。
だが、私は次のように自分を慰めたいと、今のうちから思っている。

「おれ、十分音楽を聴いてきたよな。最高の音楽を聴くために世界を巡り、究極の芸術を制覇したよな。人生でやりたいことは、やり遂げたよな。ならば、十分満足だろ? 人生に悔い無しだろ?」

グールド氏においては、「聴く」を「やる、演奏する」にそのまま置き直せば、それで済む。

更に、貴殿なら、天に行けば、ワーグナーシュトラウスが待ってくれている。神々への御目通りが必ずや叶う。私なんかが会いたいと思って門戸を叩いても、門前払いされるような偉大な作曲家たちが、両手を広げて待ち受けてくれる。貴殿はそれだけの貢献をし、羨望の特権を手に入れているのである。
だから、どうか安らかに穏やかに、その来る日を待ち望んでいただきたい。