2023年9月10日 NHK交響楽団 A定期演奏会 NHKホール
指揮 ファビオ・ルイージ
マルティン・ヘルムヒェン(ピアノ)
R・シュトラウス ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら、ブルレスケ、交響的幻想曲「イタリアから」
N響は、ルイージとの首席指揮者契約を更に3年延長したと発表した。
任期のスタートが昨年の9月からだったから、わずか1年で更新したことになる。何だか随分とあっさりの感じがしなくもないが、1年だけでも、お互いにそれだけの手応えと確信を持てたということだろう。もちろん私も、何の不満も異論もない。ルイージのような世界的指揮者が引き続き定期的に振ってくれるのなら、こんなに素晴らしいことはない。
ただ、そんな首席指揮者ルイージの登場、23-24定期シーズンの開幕公演だというのに、お客さんの入りは、何だかフツーで、空席も多い。契約更新と同様、お客さんの方もあっさりしている。プログラムがイマイチだからか?
一曲目のティルは、何だか小ぢんまりとした演奏だった。
おいおい何だよ、演奏までもあっさりかよ!?(笑)
そんな淡泊な雰囲気を、ピアニストのヘルムヒェンが颯爽とぶっ飛ばした。技巧的に難曲のはずだが、力強い打鍵で、疾風のごとく鮮やかに駆け抜けた。
へー、ヘルムヒェン、初めて聴いたけど、やるじゃん!?
なんて思っていたら、帰宅後に調べてみると、2016年10月、ヴァイオリンとピアノの二刀流奏者ユリア・フィッシャーのリサイタルで、伴奏を務めた公演に行っていたことが判明。
当然ながら、この時のピアノ演奏の記憶など、まったく残っていない。
メインの「イタリアから」は、生で初めて聴いた。
シュトラウス好きを自負しているのに「初めて聴く」だなんて、我ながら意外。単に機会に恵まれなかっただけだが。
確かに珍しい作品であるが、もし「今回初めて聴く」という人でも大丈夫。第4曲は誰もが知っている「フニクリ・フニクラ」の旋律が用いられていて、みんな思わずニヤリ、楽しく聴くことが出来る。
公演後のSNSを覗いてみたら、「鬼のパンツ」で話題になっていて、思わず笑った。
「鬼のパンツは いいパンツ つよいぞ~ つよいぞ~」 WWWWWW
ルイージの指揮も溌剌として調子良く、ノッている感じだった。
シュトラウスの作曲で、作品的にはドイツ物扱いだが、題材的にいちおうイタリアを扱っているわけで、そうした場合、イタリア人指揮者として何か思うところ、感じるところはあるのであろうか??
なお、この日のコンマスは、“まろ”篠崎史紀さん。
第一コンサートマスターの任務を終え、退団したと思っていたら、特別コンサートマスターとして再契約したんだって。まさに「特別」な存在だったというわけだねー。