クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

シュターツカペレ・ドレスデンの来日中止と、それから・・

今年の11月に予定されていたシュターツカペレ・ドレスデンの来日公演が、中止になった。公演を主催するジャパン・アーツ社が公式に発表した。
来日公演決定が報じられたのは今年の5月。そこから3か月も経たないうちに、一転しての中止の発表には少々驚いた。同社HP上の声明によれば、「オーケストラ側と慎重に協議を行った結果、昨今の諸事情をふまえ、中止する運びとなりました」とのことである。

ここでいう「昨今の諸事情」というのは、いったい何だろう。
公式発表がそれ以上を説明していないから、分かりようがない。
分かりようがないが、「おそらく、たぶん・・・」と推測することは出来る。

コロナ問題ではないことは明らかであり、指揮者の出演を含めた芸術上の観点であるならば、理由としてそのように説明するであろうから、これはやっぱり「お金」の問題ではないか。

ロシアのウクライナ侵攻を発端とした燃料・エネルギー代の高騰が引き金となり、諸物価、移動に伴う航空代等が想定値を超え、そこに円安に伴う為替変動が追い打ちをかけた。
あくまでも推測だが、そういうことではないか。

もちろん原因は一つではなく、それも含めた「諸事情」ということなのかもしれないが。


ただし、外来の演奏会は活況を取り戻しつつあって、今年の秋も多くの演奏家、演奏団体がこぞって来日公演を行う。ウィーン・フィルベルリン・フィル、コンセルトヘボウ、ゲヴァントハウス管、イスラエル・フィル、チェコ・フィル、チューリッヒ・トーンハレ管などが大挙してやってくる様相を眺めると、「シュターツカペレ・ドレスデンだけ、どうして?」の説明がイマイチつかない。

SKDの場合、来日の決定が急転直下だったことで、諸事情の急激的な変化に対応できなかったのかもしれない。
もしくは、予定していたスポンサーが付かなかったとか・・。


いずれにしても、外来演奏家・団体の招聘は、今、非常に困難な状況を迎えていることは間違いないだろう。

円安によって、輸出関連は利益を生み出す一方、輸入関連は厳しさを増す。外来公演というのは、まさに輸入関連業だ。
契約がドルやユーロで定められれば、円安の進行によって、支払コストが上昇する。

ならば、その上昇コスト分をそのままチケット代に上乗せ出来るかといったら、難しい。
なぜなら、公演のチケット代には適正価格というものがあり、それを超過すると、購買者は購入を諦めてしまい、結果、「売れない」に直結してしまうからだ。
売れなければ赤字になる。赤字が続けば、招聘会社の存亡にも関わってくる。図式としては、単純明快なのだ。


外来公演の厳しい事情問題と一緒にするのはちょっとアレだが、海外旅行も今本当に大変な時代に突入している。
4月から立て続けに3回旅行をしたが、めっちゃくちゃお金がかかった。ちょっと絶句するくらい。原因は一緒だ。

私の場合、海外に行って本場の公演を鑑賞してくるというのはライフワークであり、自分のアイデンティティみたいなものだから、そう簡単に引けない。特に今回に関しては、コロナで3年間まったく行けなかったから、空白を取り返すつもりで、とにかく全力で行った。かなりの出費だったが、後悔するつもりはない。(かかった費用の明細は目をつぶって見ないようにしている。)

だが、今後はちょっと考えざるを得ない。
自分の懐事情を無視する訳にはいかない。まったく行かないという選択肢はないが、回数と時期については、慎重に検討する。そんな今日このごろだ。

やっぱ、宝くじ買うかぁ~!?