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2023/6/26 都響

2023年6月26日  東京都交響楽団   サントリーホール
指揮  マルク・ミンコフスキ
ブルックナー  交響曲第5番


連日連夜繰り広げられるサントリーホールでの在京オケの熱い演奏。都響が負けじとばかりに、これに続いた。
この日はブルックナー1曲のみ。ブルヲタ野郎どもが集結し、開演前の男性トイレは長蛇の列になることを予測し、事前に最寄りの駅で用を済ませて、万全の体制で臨む。

そのミンコのブル、一言で言うなら、「斬新」そして「攻撃的」。

あら、二言か・・・。
まあいい。

斬新さについては、2017年7月、同じく都響と披露したブル3の旋風のような演奏の記憶が、今も鮮やかに蘇る。
フランス人だからというわけでもないだろうが、いわゆるドイツっぽい堅固で格調高い演奏からは一歩離れ、テンポの設定、間の取り方、ハーモニーの重心、リズムの躍動性など、すべてが「そうやるか!」といった驚きの連続。
特に5番では、主題が次々と手を変え品を変えながら姿を現してくるが、ミンコフスキはその変幻さを手玉にとるかのように自在に操縦し、ブルックナーの形式を自由に解放する。

そして、超が付くほどの攻撃性。
ブルックナー演奏の場合、響きの基盤をまず弦楽器群に置き、その上に管楽器のコラールのような旋律とハーモニーを上乗せする、というのが一般的なやり方の一つだが、ミンコのブルでは、音楽創生の核を管楽器群に置いているのが特徴。
特に、木管の倍管の威力が絶大。
この管楽器の輝かしい鳴りは音量が大きく、燃焼度が高く、勇壮で、ミンコフスキが更に煽って、聞き手の耳に圧倒的に迫り来る。これが「攻撃的」の意味。


以上のミンコフスキのブルックナーは、いにしえの巨匠崇拝など演奏の好みに強いこだわりを持つ一部のブルヲタからは、もしかしたら眉をひそめられるかもしれない。

だが、終演後のアプローズ、それからツイッターなどのSNS評を見る限り、多くの聴衆に受け入れられた模様。私自身もこういう演奏は絶対にアリだと思った。


都響の演奏は、白眉と言っていい。こういう演奏が、こういうブルックナーが、日本のオーケストラによって実現するのだ。これは素直に誇れる。すごいことだ。

東響、新日本フィル都響と、日本の素晴らしい演奏を続けて聴いてきて、この後、本日ロッテルダム・フィル、明日はバーミンガム市響。
時代は変わった。日本のオケは決して海外に見劣りしない。
外来オケどもよ。覚悟するがよい。物見遊山がてらの演奏をしようものなら、思い切りブッ叩かれるぞ。