クラシック、オペラの粋を極める!

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2017/7/10 都響

2017年7月10日   東京都交響楽団   東京文化会館
ハイドン  交響曲第102番
 
 
ブルックナーの既成概念を見事に壊した、画期的な快演だ。
フランス人だからなのだろうか。それとも主要レパートリーが古楽だからなのだろうか。
作品に対するアプローチ、視点が、他のいわゆるブルックナー指揮者と全然違った。
まるで南欧風のような色彩感、解放的な明るさ、自由に満ちたテンポ。
だからといって、緩さはまったく無く、細部にまで練り上げられた構成感が抜群だ。
 
爽快で新鮮なブルックナー。さすがミンコフスキだと思った。
 
クライマックスに向かうに連れて、不安が募った。
こういうブルックナーは聴衆から支持を得られるのであろうか。やたらと「精神性が・・」とか言いたがるコテコテのブルックナー愛好家からは、見向きもされないのではないか。
 
そんな不安は杞憂だった。カーテンコールでは熱烈なブラヴォーが飛んでいた。
もちろん、ネームバリューのある指揮者の演奏に、無条件に賛辞を示したお客さんもいるだろう。
だが、多くの聴衆がこの演奏を「素晴らしい」と受け取ったようだ。
 
これは、私にとっても嬉しいことだった。
なぜなら、色々な演奏家の色々な解釈があり、バラエティに富んだ演奏があるからこそ、クラシック音楽の観賞は楽しいと思うからだ。多様性の受け入れこそが、この趣味を楽しむ秘訣なのである。
 
でも・・・。
とある情報によると、この日、ブルックナー演奏も大得意のE・インバルが会場に来ていたらしい。で、演奏を聴いた後、ミンコフスキの楽屋を訪ねたらしい。
思わぬ大御所の表敬訪問にすっかり恐縮したミンコさん、なんとインバルに「どうもすみません」と謝ったんだとか。いや、聞いた話なので真偽不明だが。
それにしてもどういう意味で?
「神聖なブルックナーをこんなふうにしちゃってどうもすみません」てか??
 
本当だとしたら、なかなか笑えるエピソードである。