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2022/2/14 大阪フィル

2022年2月14日  大阪フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
指揮  尾高忠明
ブルックナー  交響曲第5番


もっと、「バレンタインデーなんか縁がねぇー」みたいなコテコテのブルヲタ野郎どもが大挙集結するかと思ったが・・。見渡してみたら、意外と客層は普通だったな(笑)。

えー、それはさておき、毎年恒例の大阪フィル東京公演。音楽監督の尾高さんによるブルックナー交響曲シリーズが着々と進行中だ。
ただし、昨年の東京公演はブル9が予定されていたが、コロナにより中止。今年はブル5を引っ提げ、二年ぶりの参上である。

一昨年のブル3がどんな演奏だったかについては、よく覚えている。「大阪フィルと言えば朝比奈のブルックナー」といった過去の栄光を殊更に意識せず、謙虚かつ自然体でありながらも、さりげなく「尾高のブルックナー」という独自性を打ち出し、そこに積み上げてきた自らのキャリアのプライドをしっかりと滲ませる、そんな感じだった。

今回の演奏だが、尾高さんのタクト、指揮台上の佇まいということで言えば、特段の変化は見られない。いつもどおりの尾高忠明ブルックナーに限らず、いつでもどんな作品でも、丁寧で大見得を切らず、等身大の振る舞いだ。

だが、そんな指揮姿とは裏腹に、勢いと熱量が凝縮され、グイグイと前に進む演奏が聴こえてきた。特に、第4楽章のコーダに向かっていく白熱さは凄まじく、圧倒的な頂点を築き上げ、ホールの隅々まで思い切りブルックナーパウゼの残響を轟かせた。これはなかなか痺れた。

大阪フィル奏者の気合いがすごかった。ゴシゴシと弾く弦楽器、ブイブイと吹く管楽器。
尾高さんのリードなのか、これぞ朝比奈御大の遺産なのか、作品の壮大さがそうさせているのか。
それとも、単純に東京遠征で燃えている??(笑)
きっと全部だろうね。お疲れ様。

お疲れさまと言えば、尾高さんはこの日、まずN響のリハーサル(水曜と木曜と定期公演)をこなし、そして夜、この本番だったという。体力的にも頭の切替えという面でも、さぞや大変だったに違いない。

いや、それとも案外、指揮をする喜びに満ち溢れ、疲れなんて全然感じないのかな?

入国制限で外国人指揮者の来日が難しい中、代替でお呼びがかかる日本人マエストロたちは、今、もしかすると人生の中で最も忙しかったりして(笑)。