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2023/6/27 ロッテルダム・フィル

2023年6月27日  ロッテルダムフィルハーモニー管弦楽団   ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮  ラハフ・シャニ
藤田真央(ピアノ)
ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番
ブラームス  交響曲第1番


ロッテルダム・フィルといえば、ゲルギエフ。彼が初めてロシア国内以外でポストを得たオーケストラだ。
首席指揮者の任期終了後も名誉指揮者として君臨し続け、自分の名前を冠した音楽フェスティバル開催するなど、絶大な影響力を行使していた。

そんなゲルギエフが、ロシアのウクライナ侵攻によって、オーケストラの方から長年の絆、繋がりを断たれたのは、周知のとおり。

この時既にロッテルダム・フィルは、ゲルギーのネームバリューに依存せずとも、将来を共に歩んでいくパートナーとして、一人の逸材を確保していた。

その名を、ラハフ・シャニ。

今、世界から熱い視線を注がれている若手指揮者の一人。イスラエル人、34歳。
21歳でイスラエル・フィルの副指揮者に就任。その2年後にグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝。
日本には2016年に読響を振ったほか、昨年のPMFフェスティバルでも来日したが、いずれも私は聞き逃していた。今回、初めて彼のタクトの演奏を聴く。いったいどんなもんじゃい、ラハフ・シャニ。


・・・・と、ここまでが聴く前までの話。

会場に到着すると、多くの女性、女性、女性・・・。入口の前には「満員御礼」の看板が。

そうか、本日は藤田真央クン出演だったっけ・・。

明らかにソリストだけ目当ての客が何割かを占めている。彼が出演しなかったら、完売になっていないコンサート。そんな多くのお客さんたちからしてみれば、世界が注目する新進気鋭指揮者であろうが、所詮は一伴奏者に過ぎないなのだろう。

やれやれと思いつつ公演を鑑賞したわけだが・・・。
いざ蓋を開けてみると、このコンサートの最大の聴き物は、やはり真央クンが弾いたコンチェルトであったのだ!
音楽を完璧に手中に収めており、作品が要求する高度な技術レベルを難なく弾きこなし、しっかりと「藤田真央のラフマニノフ」として確立させ、自らの語り口で堂々披露している。
あたかもアイドルのように多くの女性ファンからの人気に支えられているが、彼こそ天賦の才能を有する本物のピアニストであることを、立派に証明していた。


一方、私にとって肝心のラハフ・シャニであるが・・。

この日の公演では掴み所が見えないという印象。

メインのブラームスは、なんというか、普通であった。
奇を衒わない正々堂々とした演奏と言えば聞こえがいいが、オーソドックスなアプローチの中に指揮者のオリジナリティは埋没。溌剌としたタクトさばきは確かに見栄えがするものの、これは別にシャニに限らず、若き俊英指揮者であれば皆同じ。

ブラ1という曲が難しい、という気もした。
あまりにも名曲であるがゆえに、もう十分に語り尽くされてしまっている感があるのだ。
ただし、そこに新たな基軸を打ち込んでこそ、天才指揮者の面目躍如だとは思うが。

まあ、シャニを聴く機会はこれからもきっとあるだろうから、期待は引き続き継続させることとしたい。
とりあえず、秋にイスラエル・フィルと再度来日する。また、ゲルギーの後、空席となっていたミュンヘン・フィルの首席指揮者に決まったという報もある。
真価が発揮されるのは、まだまだこれからだ。


前日は、男子トイレに長蛇の列が出来、そしてこの日は女子トイレに長蛇の列が出来・・。
面白ぇ~www。
前半が終わって真央くん目当てのお客さんが退場してしまい、後半に席がごっそりと空いてしまったら何だか悲しいなと思っていたが、若干いくつかそういう席はあったものの、大きく目立つことはなくて、ちょっとホッとした。