クラシック、オペラの粋を極める!

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2023/5/23 第1回十字軍のロンバルディア人

2023年5月23日   王立ワロン歌劇場(リエージュ
ヴェルディ   第1回十字軍のロンバルディア人
指揮  ダニエル・オーレン
演出  サラ・シナージ
サロメ・ジチア(ジゼルダ)、ラモン・ヴァルガス(オロンテ)、マッテオ・ローマ(アルヴィーノ)、ゴデルジ・ジャネリーゼ(パガーノ)、アルローレ・ダウブルン(ヴィクリンダ)   他


指揮のダニエル・オーレン、お久しぶり。
彼のタクトで聴いた前回の公演が2009年のパリ・オペラ座だったので、14年ぶりということになる。
イスラエル出身。ベルリン音楽大学で学んでいるが、若干20歳でローマ歌劇場音楽監督に就任したことがキャリアの方向性の決め手になったのか、イタリアオペラのスペシャリスト的な立ち位置である。2000年代には日本にも何度となく来日した。

久しぶりということで、「まだ現役でやっていたのか」みたいな思いがよぎったが、実際のタクトはバリバリに元気。1955年生まれなので69歳ということだが、全然その年齢に見えない。そもそも、ピットの指揮台の上で、ずっと立ちっぱなしで指揮をしていた。もしかしたら今が一番脂の乗った全盛期なのかもしれない。

キャストの中では、おそらく一番のビッグネーム、ラモン・ヴァルガス
美声は相変わらずだが、少々華に欠けている印象。年取ったからか。

歌手の中で最も好印象を残したのは、パガーノ役のジャネリーゼ。力強いバスの声が劇場内に轟いていた。

それにしても、このパガーノという役、兄の嫁を奪おうとし、その兄を殺そうとして間違えて父を殺してしまうという本来なら絶対的悪役のはずなのに、その兄のアルヴィーノよりも登場シーンが多くて活躍が目立ち、いつの間にか許されて良い役になっているというのは、筋として変な物語だよなー。
オペラならではの作品。


演出も衣装もオーソドックスで、はっきり言って凡庸。
歌手、特に合唱の動きは最小限で、あたかもコンチェルタンテのよう。何だか日本の某歌劇団の舞台を見ているみたい。ドイツで前衛的な演出を観続けていると、こういう演出は退屈に感じてしまう。


このオペラハウス、ベルギーで、なおかつドイツにも近いということで、字幕スーパーが4言語対応の4段になっている。フランス語、オランダ語、ドイツ語、そして英語。これはなかなか興味深かった。