2023年5月21日 マーラー・フェスティバル Ⅰ (会場:ゲヴァントハウス)
指揮 アンドリス・ネルソンス
管弦楽 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
合唱 MDR放送合唱団
ニコラ・ヒッレブラント(ソプラノ)、ゲルヒルト・ロンベルガー(メゾ・ソプラノ)
マーラー 交響曲第2番 復活
午前11時開演の日曜マチネー。マーラー・フェスティバルの鑑賞一発目、「復活」。
いやー、嬉しい! チケットを買って以来、ずっとこの日を楽しみに待っていた。コロナにまみれた3年を一掃する絶好の機会。文字どおりの「復活」。
東京でも今年の3月に大野和士指揮で都響が演奏したが、私はパスした。ここライプツィヒで、ゲヴァントハウスで、思い切り感動したかったからだ
作品自体が劇的で魂を揺さぶる曲だから、どんな演奏を聴いても大抵は心が震えるが、それでもやはり今回のゲヴァントハウス管の演奏はしびれた。自分的に空前絶後だった。ネルソンスの復活は、宇宙を鳴り響かせるかのように壮大で、それでいて繊細、かつ美しかった。懐が大きく(身体そのものもデカイが)、オーケストラの輝くような鳴り響きをがっちりと包容していた。
こんな演奏をされたら、ひとたまりもない。私の涙腺は、第1楽章からいとも簡単に決壊。
人間は泣くと、鼻水が出てくる。「ズズッ」と啜る音が聞こえないように必死にこらえていたところ、隣に座っていたイケメンの青年がサッとティッシュを差し出してくれた(笑)。
しまった、気づかれたか・・・。ちょっと恥ずかしい。でも、ありがと、ダンケ・シェーン。
圧倒的な頂点を築き上げ、最後の強奏音「ジャン!!!」を鳴らせると、興奮のあまり、何人かの人は待ちきれず堪えきれず、フライングで拍手を叩き、「ブラヴォー!!」と叫んでしまいがち。
まあ、そうなってしまう状況は分からないでもない。そういうフィナーレだから。
なので、指揮者はこの劇的なクライマックスで、いっそのこと鳴らした瞬間にタクトを下方へビュンと投げ出した方がいい。静かに終わる曲じゃないし、そうすれば問題は起きないだろうから。
今回、ネルソンス、あたかも残響の余韻を確かめるかのごとく、タクトを上げたまま、すぐに下ろそうとしなかった。
ここでフライング・ブラヴォーが発生したら、とんだ冷水になるんじゃないかと思いきや、ライプツィヒのお客さんは偉かった。ネルソンスがタクトを静かに下ろすまで、拍手、歓声が鳴らなかったのだ。すげー、成熟してるじゃん! さすが。
でも、一通りの答礼が終わり、場内の明かりが付いて楽団員が引き上げようとした瞬間、熱狂のカーテンコールはあっけなく終了。あらら・・。
日本だと、この後もしばらく拍手は続き、指揮者がソロでステージに呼び出されるのだが・・・。(「参賀」と呼ばれる)
実はヨーロッパのカーテンコールって、まあ大抵こんな感じだ。そこらへんは文化の違いということで。
その代わり、スタンディングオベーションとしてサッと立ち上がるタイミングは早い。演奏が終わったらすぐに立ち上がって拍手する人、多数。起立というのは、彼らにとって最大級の敬意である。
いずれにしても、凄い演奏を聴かせていただきました。はるばるドイツにやって来た甲斐があった。私はこの日の演奏を決して忘れないだろう。