連日のようにオペラを観、そして移動を繰り返す今回の旅行だが、この日は連泊し、ベルリンに留まる。このため、午前中から観光に時間を充てることが出来る。
そういうことで、郊外に出掛けた。
ベルリン郊外にはポツダム宣言で知られる街ポツダムがあるが、そこを結んでいる近郊電車Ｓバーンに乗り、Wannseeという駅で下車。seeというのはドイツ語で湖という意味で、その名のとおり風光明媚な郊外リゾート地だ。地図で見ると、実際には湖ではなく川なのだが、穏やかに流域の幅が広がっているので、景観的に湖と言って差し支えなく、十分にのどかな湖畔を堪能出来る。リゾート地らしく、高級別荘邸宅も多い。
この地を訪れたのは、単に景色を味わうためだけではない。ここに「ヴァンゼー会議記念館」というのがある。ナチスがここでユダヤ人絶滅計画を企てたという場所らしい。負の遺産として保存し、資料館として公開されている。入場料、無料。二度と繰り返してはならないという教訓を次世代に伝えるための政策的配慮なのだと思う。
