クラシック、オペラの粋を極める!

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2023/4/2 運命の力

2023年4月2日  ベルリン・ドイツ・オペラ
ヴェルディ  運命の力
指揮  パオロ・カリニャーニ
演出  フランク・カストル
フルカル・サビロヴァ(レオノーラ)、ホルヘ・デ・レオン(ドン・アルヴァーロ)、ロマン・ブルデンコ(ドン・カルロ)、ヤナ・クルコヴァ(プレツィオシッラ)、アンテ・ジェルクニカ(グァルディアーノ神父)   他


フランク・カストルフ。バイロイト音楽祭で、2013年にプレミエとなった指環四部作を演出した人物だ。
このプロダクション、天才キリル・ペトレンコバイロイト初登場でリングを振るということで当初話題になったが、蓋を開けてみたら、カストルフの醜い演出で悪評が先に立ってしまったという散々の曰く付きだった。
ただ、私自身はこのリングの映像を見ていないし、カストルフ演出のその他の舞台も今まで観たことない。なので、評価の仕様もない。
バイロイトは世界的に注目の高いフェスティバルだから、自らの名前を売り出すためにあえて過激に演出し話題を創出する、みたいな魂胆が無いとは言い切れない。いずれにしても、今回まっさらの目で観てみよう。

物語は1930年代のスペイン内戦期に移し替えられている(たぶん)。読替えとはいえ、「運命の力」が戦争時の物語なのだから、妥当な解釈だと思う。
回り舞台を使って舞台を転換。また、ステージにスクリーンを設置し、舞台上のカメラマンが登場人物を撮影する映像をそこに映し出す、というやり方も採用。

舞台上のライブ映像をスクリーンに映すのは、他の演出でも何回か見たことがあるので、別に斬新でもない。
色々と工夫が施された演出だが、全体的には過激とは言えず、比較的まともの部類に属するのではないか。

なんだカストルフ、物足りねえぞ(笑)。
やっぱりバイロイトの時は、相当気張っちゃったんだろうね。でも、そのおかげで演出家としての名が知れ渡ったわけだ。


歌手ではレオノーラを歌ったサビロヴァが出色の出来。初めて聴いたが、素晴らしい。声が瑞々しくて麗しいし、技術もしっかりしている。
それに比べると、男性陣はちょっとアレだな。特にアルヴァーロのホルヘくんはイモだな。
(今の時代、ダサいを「イモ」とは言わないか・・。昔はそう言っていたよな。オレもジジイだからな。)


指揮者のカリニャーニは、イタリア人だが、かつてフランクフルト歌劇場の主席指揮者だったこともあり、ドイツで活躍出来る領域が存在している。ドイツ語もペラペラだそう。イタリア・オペラを上演する際には、使い勝手の良い指揮者なのではないか。

だが、タクトはイタリア人そのもの(笑)。情熱的に振って、オケを煽る。つい前日のヴァイグレと比較してしまうが、好対照だ。

ただ、今回の上演は新演出プレミエではなく、レパートリー再演。
だとすると、オーケストラ・リハーサルはほとんど無いに等しい。ならば、あれくらいブンブン振った方がオーケストラを上手に導ける、という目算があったのかもしれない。


ついでに客入りも前日のフランクフルトと比較すると、フランクフルトはチラホラと空席はあるもののほぼ満員。これに対し、ドイチェオーパーはガラガラ。
ベルリンの場合、歌劇場が3つもあるから、お客さんの獲得競争が大変なんだろうな。コロナもあったしな。