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2015/4/11 新国立 運命の力

2015年4月11日   新国立劇場
指揮  ホセ・ルイス・ゴメス
演出  エミリオ・サージ
イアーノ・タマー(レオノーラ)、ゾラン・トドロヴィッチ(ドン・アルヴァーロ)、マルコ・ディ・フェリーチェ(ドン・カルロ)、ケテワン・ケモクリーゼ(プレツィオジッラ)、松位浩(グァルディアーノ)   他
 
 
 朝から原因不明の頭痛に苦しむ。こういう時に限ってダブルヘッダーなのだから困る。心身ともに健やかでないと、音楽は楽しめないのである。モヤモヤした気持ちを奮い起こして劇場に向かった。
 
 プレミエを観て以来9年ぶりのサージ演出版だが、印象は当時とさほど変わらない。第一幕、何かを起こしてくれそうな期待を感じさせる幕開けなのだが、その後何かが起こるわけでもなく淡々と進む。最初に後ろで座っていた人たちはいったい何だったの?仕掛けや細工を放っているようだが、あまりよくわからない・・・。
 人々が集まっている営舎の場面など、スペインでありながらどこか昭和初期の日本を感じさせるようなレトロさが、なんとも微妙な違和感・・・。
 
 再演を観た時の演出の印象については、一つ言えるパターンがある。
 最初に観た時の印象が鮮烈で演出的な意図を強く感じることが出来た場合、再演を観ると、前回とはまた違う新たな発見を見つけることが出来る。
 一方、最初に観た時の印象が薄くぼやけた場合、再演を観ると、新たな発見はなく、やっぱり薄くぼやけた印象のまま、ということ。
 
 今回の演出の冷めた感想は、決して体調のせいではないと思う。
 
 歌手については、皆、可もなく不可もなく、新国立劇場的水準。
 トドロヴィッチは、昨年ミュンヘンで聴いた方が優れていたような気がするが、それでも第三幕冒頭のアリアは心を打つ美しい歌唱だった。ドン・カルロのマルコ・ディ・フェリーチェもそうだったが、どちらかと言うとソロより重唱の方が響きが良かったと思う。
 イアーノ・タマーはフツー。ケモクリーゼは存在感が抜群で、カルメンみたいな雰囲気プンプンで良かったが、歌に勢いを付けすぎて音程をしっかり捉えることを省略しがちだったのは少々不満。
 この日、もっとも感心したのはグァルディアーノ神父の松位さん。カーテンコールのブラヴォーも多かったので、聴衆の皆さんの思いは同じだったのだろう。
 
 指揮のホセ・ルイス・ゴメスは、当初予定の指揮者から交替し、全然知らなくてノーマークだったが、かなり健闘して良かったと思う。冒頭の序曲だけでなく、随所にヴェルディらしい熱さを引き出していた。
 
 
 結局頭痛は最後まで収まらなかった。とっとと家に帰って寝たかったが、足取り重く東京文化会館に向かった。