クラシック、オペラの粋を極める!

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巨匠たちの健康不安

巨匠演奏家たち、我ら愛好家が崇拝する神々が、健康不安に見舞われている。
バレンボイムベルリン州立歌劇場のGMD(音楽総監督)の職を辞する発表に関する記事をつい先日書いたばかりだが、今度は、マルタ・アルゲリッチが今後の活動をキャンセル。その前に、マウリツィオ・ポリーニがやはり公演をキャンセルし、活動を休止している。二人とも、心臓疾患が原因と言われる。

三人とも同世代、ほぼ同い年と言っていい。揃って80歳を越えているのだ。年を取れば、病気に見舞われる。「生涯元気溌剌」というわけにはいかないのである。
ところが、愛好家というのはいい気なもんで、バリバリで快活な彼らのイメージしか持ち合わせていない。「病気でキャンセル」というニュースに接すると、「え? うそ!?」と思い、「早く元気になって、また復活して、素晴らしい演奏を披露してよね」と勝手気ままに願う。

巨匠演奏家たちだって、そりゃ復活して、また素晴らしい演奏を披露したいだろう。
だが、彼ら自身が「全盛期とのギャップ」「世界最高に値する演奏を提供できない」という自覚に直面し、悩み、苦しむのだ。
例えどんな演奏であろうと、仮にも衰えが顕著であろうと、それを支持してくれる熱狂的ファンは、きっと少なからず存在する。
一方で、全盛期と比較し、「ああ、衰えちゃったね。もうダメだね。」などと後ろ指をさす心無い輩だって、きっと多数いる。
巨匠たちも人間。年を重ねながら、そうした容赦ない批評と戦い続けなければならないのは、それが宿命とはいえ、我々の想像を絶する苦悩であるに違いない。

でも・・。
私は言いたい。「大丈夫だよ」と。
彼らは、燦然と輝く録音、歴史的名盤を数多く残している。それがあり続ける限り、彼らは「永久に不滅」なのだ。
だから、過敏な責任感に苛まれることなく、引き際の美学も頭に入れながら、闘病に専念し、穏やかで健やかな生活を送って欲しい。


前回のバレンボイムの記事で、「小澤征爾の名を冠したフェスティバルこそ、明日は我が身」と書いた。

そういや、同じく巨匠の名を冠したフェスティバルが、大分別府にありますな。
当然、今年も開催するつもりだろうし、さぞや気を揉んでいることだろう。