体調不良によりN響客演のための10月の来日をキャンセルした、ヘルベルト・ブロムシュテット。
N響を通じて、「2024年の来日を楽しみにしている」との本人コメントが発表されたが、いかんせん高齢なので心配ではある。一部には「さすがにもう厳しいのでは」みたいな悲観論も囁かれる。
その老巨匠、今月14日と15日、ハンブルクにてNDRエルプ・フィルの客演指揮が予定されていて、無事復帰を果たすのか、私も注目していたのだが、案の定キャンセルが発表された。
ああ、やっぱり・・・。
主催者の公式発表では「due to illness」とある。
しかしまあ、なんというか、この「ilness」をどう受け取るのかは、結構微妙だね。
N響の場合、「体調不良で医師のアドバイスに従い」というものだったわけで、「病気」と「体調不良」は、印象、ニュアンスが全然違うもんな。
もちろん、ファンとしては奇跡の復帰ニュースを待ち望みたいところ。
爺のすべてのスケジュールをチェックしているわけではないが、ざっとネットで調べてみたら、その次は2024年2月にサンフランシスコ響のコンサートに出演予定の模様。
果たしてどうなるか?
同じく来日公演をキャンセルしたフランツ・ウェルザー・メスト。
メストは、はっきりと「がん治療」と公表していて、まず、年内の予定はすべてキャンセル。その後は、リハビリと経過観察を続けながら、並行で慎重に復帰を果たしていく予定とのことで、メストの公式HPによれば、2024年1月にクリーヴランド管との公演が予定されている。
これも、予定どおり出演されるか、注視してみたい。
ただ、メストの場合、まだ60代前半であり、「がん」イコール「危ない」という時代ではなくなっているので、私も少し楽観的ではある。
ベルリン州立歌劇場の音楽監督を辞任したバレンボイム。
同じく治療、リハビリ、経過観察を行いながら、なんとか現役を続けている。
彼の場合、出演する公演を厳選絞っている結果、必然的な成り行きというか、世界最高の銘器ベルリン・フィルとの結びつきがますます強くなっている感じ。
直近の予定だと、今月20日、21日、22日の3日間の公演に登場予定。
プログラムはベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番と、ブラームスの交響曲第3番。ピアノのソリストは、同志のアルゲリッチ姐。
うーん、豪華。
N響も出演するという発表で話題になった2025年5月のマーラー・フェスティバル(@コンセルトヘボウ)には、そのベルリン・フィルと、交響曲第10番アダージョと「大地の歌」を演奏することになっている。
そんな先まで予定をしちゃって、大丈夫か?
バレンボイムの公式HPのスケジュールによれば、肝煎りであるウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラとの結びつきも堅持されていて、既に来年8月のベルリン郊外ヴァルトビューネ公演も発表されている。また、このコンビはザルツブルク音楽祭の常連で、今年の夏も演奏会が入っていた。来年夏の音楽祭のスケジュールが公式発表されれば、間違いなくそこに含まれているはず。
そのバレンボイム公式HPのスケジュールには、まだ「音楽の友」誌が公表した2024年6月の来日予定について、掲載されていない。正式発表待ちということだろうか。
ただ、極めて厳しい昨今の中東情勢から、本当に来日公演が出来るのかどうかは、かなり微妙なところだろう。イスラエル・フィルだって中止に追い込まれたわけだし。
そもそも、来日公演どころか、オーケストラの存亡の危機に瀕していると言っても過言ではない。
こういう厳しい状況であっても、音楽の力、バレンボイムの力によって、パレスチナとイスラエルの音楽家間の絆を引き続き築いていくことが出来るのか、バレンボイムの健康状況と併せて注目していきたい。