クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

そろそろ出口を見つけようよ

9月4日に一般発売開始となった11月のウィーン・フィル来日公演のチケットは、早々に完売したそうな。
まあそうだろう。外来公演がことごとく壊滅状態の中、唯一特例扱いを受けて開催が実現しそうな特別オーケストラなのだから。「他は無理でも、ウィーン・フィルなら、昨年のこともあるし、やってくれるかも」という期待があるからこそ、多くのファンがチケット申込みに走ったのである。

昨年のウィーン・フィル来日公演は、何もかもが異例だった。
国家間の友好と文化交流を後ろ盾にした高度な政治決定。チャーター機での来日。移動の新幹線もバスもすべて貸し切り。厳重な隔離、厳重な検査管理体制・・・。
そうやってようやく開催にこぎつけることが出来た、スペシャルな海外オーケストラ公演だった。

あれから一年・・。
唖然としてしまうが、事態は何にも変わっていない。少なくとも日本では。依然としてオーケストラを始めとする団体の来日公演はほぼアウト。
「来年あたりは、少しは状況が改善されるかな?」と昨年に抱いた期待は、完全に裏切られた。
ウィーン国立歌劇場来日公演は中止。ベルリン・フィルも中止。来年1月に予定されていたシカゴ響の来日公演も中止・・。
つい先日もハーゲン・カルテットの来日中止発表があった。4人なら何とかなるかな、と思ったがダメだった。

これまでなら、諦めは付いた。こんな状況じゃ無理だというのは自明だし、2週間隔離条件は非常に厳しい措置である。仕方がないなと納得できた。

だが、状況が変わらず、変わる兆しさえも見えない現状に、だんだんと苛立ってきたし、ヤバいんじゃないかと危惧するようになってきた。欧米が経済再生に舵を切るようになり、徐々に活動再開の動きを見せ始めているからだ。
8月23日の読響公演の感想記事にも書いたが、そのうち各演奏団体は「別に無理して日本に行く必要ないよな」という判断を働かせるようになるのではないか。そうやって、やがて見向きもされなくなってしまうのではないか。

つい先日、ちょうど政府の感染対策分科会でも提言が出ていたが、是非そろそろ出口戦略について検討してほしいし、きちんとした行程を示してほしいと思う。
これは単にクラシック音楽の外来公演といった小さな問題に留まらず、日本経済の再生に直結する課題なのだ。

入国制限は、グローバル経済の観点からすれば、停滞後退の最大要因になり得る。国際競争に出遅れることが必至だからだ。
それに、例えば農林水産業や医療介護などの分野で今や必要不可欠な存在になった正規の外国人研修生や技能実習生たちが来日できないことで、各現場において深刻な人手不足に陥る事態が発生している。これもきっと大きな問題であろう。日本語を学び、日本に貢献してきた彼らは、もしかしたら今後、選択肢から日本を外すようになってしまうかもしれない。


・・・ま、早い話、日本経済うんぬんより、単に早く以前のように日本にたくさん外来演奏家たちが来てほしいという個人的な願い、ということで(笑)。
毎年11月頃は外来公演ラッシュが恒例だった。あの頃、「いやー、金がいくらあっても足らんわい」と嬉しい悲鳴を上げていたのが懐かしい・・。