2004年6月27日 準々決勝第4試合 ドラゴン・スタジアム(ポルト)
チェコ 対 デンマーク
3-0
この大会で、一人のゴールデン・ボーイが誕生した。
チェコのFW、リヴァプール所属のミラン・バロシュである。
記憶は若干定かではないが、おそらくこの大会が始まる前までは、それほど名が知れていなかったと思う。チェコ代表チームの中には、ドルトムントの長身ゴールゲッター、ヤン・コレルがいたし、他にもネドベド、ポボルスキー、ロシツキーといったスター選手の中で、どちらかといえば隠れていた存在だった。
ところが彼は、頭角を現し、覚醒し、爆発した。
この試合でバロシュは2得点を挙げ、デンマークを叩きのめした。そして、最終的に、今大会の得点王に輝いた。
リヴァプールといえば、当時、ワンダーボーイと呼ばれ、替えのきかない絶対的存在として君臨していたマイケル・オーエンがいた。そのオーエンが、この大会後、さらなる飛躍を求めてレアル・マドリードに移籍していく。
リヴァプールの至宝であり、ジェラードと並んでチームの顔でもあったオーエンを、本来ならクラブが手放すはずがない。
なのに移籍を容認したのは、後継としてミラン・バロシュが使える目処が立ったから、とのもっぱらの噂である。彼はこのユーロで、見事にそれを証明したというわけだ。
そのバロシュのおかげで、チェコはベスト4に進出した。
さあ、次の対戦相手、それは今大会で大旋風を撒き起こしている、ギリシャだ。