クラシック、オペラの粋を極める!

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2011/6/15 メト ドン・カルロ

2011年6月15日  メトロポリタンオペラ   NHKホール
ヴェルディ  ドン・カルロ(イタリア語5幕版)
演出  ジョン・デクスター
マリーナ・ポプラフスカヤ(エリザベッタ)、ヨンフン・リー(ドン・カルロ)、ディミートリ・フヴォロストフスキー(ロドリーゴ)、エカテリーナ・グバノヴァ(エボリ公女)、ルネ・パーペ(フィリッポ2世)   他
 
 
 今回の来日公演はメトの威信がかかった一大プロジェクトだったのに、はからずも波紋を呼んでしまったのがこのドン・カルロであった。なんたって当初発表のキャストは凄すぎた。それがこれだけ変更になってしまったら、この演目一点に絞って楽しみにしていたお客さんは納得できないというのはある意味当然だろう。
 だが、私は個人的に、どうしようもなく仕方がなかったことだと思う。こんな未曽有の大惨事・大事故が起きてしまったのだ。私はキャンセルした歌手も主催者も責める気になれない。そして、このツケは私たち自身が負わなければならないのだと思う。
 
 むしろ、メトはこのような緊急事態に一生懸命対応し、出来る限りのことをしてくれたと思う。今回の代役、ヨンフン・リー、ポプラフスカヤ、グバノヴァは、そりゃ当初予定の歌手から比べればやや格下感はあるが、世界最高の歌劇場の一つであるメトの水準はしっかりキープされていた。新国立劇場がこの代役キャストを連れてこられるか、といったら、答えは「No」だろう。
 
 第一幕、ドン・カルロとエリザベッタの出会いの場面で、リーとポプラフスカヤが登場した時、本当ならカウフマンとフリットリだったわけだが、別に私は全く気にならず、そんなことスッカリ忘れて普通にオペラを楽しむことが出来た。第2幕でスター歌手のフヴォロストフスキーが登場した時(ニューヨークだったら、ここで拍手が起こる)、「おお!そういえばこれはメトだったわい!」と改めて気が付いたくらいである(笑)。
(ところで、フヴォロストフスキー? ホロストフスキー? 正しくはどっち? 誰か教えて。)
 
ヨンフン・リー。
「なんでリーなのよ。イ・ヨンフンだろがよー。」なんてツッコミは置いておき・・・(笑)。
 若々しく澄んで伸びのある声には魅了された。やや歌いまわしや演技がベタなところもあったが、いいじゃないか。他の役は知らないが、少なくともドン・カルロ役なら彼は世界のどこで歌っても大丈夫だろう。それにしてもクラシック界におけるこのところのコリアンパワーには眼を見張るばかり。すごいなあと思う。欧州の多くの歌劇場の専属歌手にはたいてい一人や二人韓国人がいる。日本は負けてるね。
 
 そうは言っても、観客のお目当てがフヴォロストフスキーとパーペの二人に集中してしまうのは仕方が無いだろう。オペラもいちおう芸能である以上、知名度の高いスターを迎えて「よっ!待ってました!」と喜ぶ楽しみ方を否定することは出来ない。実際、二人ともさすがの貫禄であった。
 
演出については、特にコメントなし。ま、いいんじゃないですか(笑)。
 
 
あ~あ、メトが終わっちゃった。宴が終わって寂しさ残りけり。「もうこりごり。二度と来ません。」なんて言わないでくださいね、ゲルプさん。