クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2019/12/9 ウィーン

フランクフルトから、今度はウィーンへ移動。
毎日毎日、コンサートやオペラを追っかけて移動。やれやれ。
「疲れないの?」と聞かれることがある。
疲れるに決まっているのである。

昼食を取ろうと思って旧市街のホーフブルク界隈をプラプラしつつ、久しぶりに王宮礼拝堂を覗いてみた。

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ここは由緒あるハプスブルク家御用達だった礼拝堂だが、日本では、あのウィーン少年合唱団が、日曜の定例ミサで天使の歌声を披露する場所として有名だ。

この日曜ミサは、立ち見で覗くことも出来るし、指定席のチケットを買って参加することも出来る。(立ち見の場合、早く並ばなければならないらしいが、詳しいことは知らない。)

実は私も大昔、ウィーンへの旅行がまだ2回目という若かりし頃、指定席チケットを買ってこのミサを見物したことがある。ガイドブックに紹介されていた「ウィーン少年合唱団が聴ける!」みたいな宣伝文句にまんまと引っ掛かってしまったわけだ。
別に、真剣にウィーン少年合唱団が聴きたかったわけではない。あくまでも興味本位。

今はインターネット予約が出来るみたいだが、当時の私は2~3日前に事務局の窓口に出向き、そこでチケットを直接買った。席種のカテゴリーがいくつかに分けられていて、どのカテゴリーを買ったのか、いくらだったかは、もう忘れてしまった。なんとなく3千円くらいだったような、微かな記憶がある。

「嘘だろ!? マジかよ!?」
当日、自分の座席に案内されて、開いた口が塞がらなかった。
自分の席は、バルコニー部屋内だった。室内なのだ。

上の写真で、礼拝堂内の壁にいくつか窓があるのがお分かりだろうか。あれらの窓の一つ一つの奥に、小部屋がある。10人くらいが座れるスペースだろうか。
想像すれば容易に分かることだが、窓から直接見下ろして礼拝の様子を覗けるのは、窓際に着席する最前列の2、3人のみ。残りの人はまったく見ることが出来ない。
各部屋にはモニターTVが設置されている。直接覗けない連中は、そのモニターを見よ、である。
聞こえてくる司祭のお話も、礼拝の音楽にしても、ウィーン少年合唱団の歌声にしても、すべてはあの窓越し。臨場感、ゼロ。

これはひどい。騙された。こんなの詐欺だろ・・。」
ちゃんと「直接様子を見られない席です。音も窓越しです。」という条件を提示され、相応の格安値段だというのなら、それを承知で買った自分の責任になろう。
だが、そんな説明は一切なかった。これで3千円は無いね。無い。

ミサ終盤に差し掛かると、今度は各部屋に籠を持参した人が回ってきた。献金である。
キリスト教の礼拝ではこれを行うのが常。なので、それ自体を否定はしない。
だがこの時私は、「こんなお粗末な扱いをしておいて、まだ金をせびるのか、コノヤロー」と怒りが沸いた。当然無視。

ちなみに、ウィーン少年合唱団が陣取っているのは、礼拝堂の後方最上階。彼らが歌っている姿は、高い席を買おうが安い席を買おうが、ほとんどのエリアで見えません。そういう意味でも、期待は裏切られる。

あれから30年近く経っているというのに、以上のエピソードは、腹立たしさと共に鮮明な記憶だ。
今はネット社会だし、情報が簡単に手に入る時代なので、そうした実態は少しは知られているのだろうか。あるいは、状況が改善されているのだろうか。

本当にウィーン少年合唱団を聴きたいのなら、来日公演でコンサートホールで聴くのが一番。彼ら、毎年のように来てくれるし。あたしゃこれまで行ったことは一度もないけどな。

なーんてことをボーッと考え、思い出しながら、礼拝堂内にしばし佇んだ。堂内は、ちょうどオルガン奏者が練習中で、パイプオルガンが断片的に鳴り響いていた。