クラシック、オペラの粋を極める!

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2014/10/4 新日本フィル

合唱  栗友会合唱団
スザンネ・ベルンハルト(ソプラノ)、マリー・クロード・シャピュイ(メゾ・ソプラノ)、マクシミリアン・シュミット(テノール)、トーマス・タッツル(バス)
ツィンマーマン  管弦楽のスケッチ「静寂と反転」
ベートーヴェン  ミサ・ソレムニス
 
 
 ここ何回かシリーズ化して取り組んだツィンマーマンとベートーヴェンカップリング。現代曲を得意とするいかにもメッツマッハーらしい個性的なプログラムだ。
 10分ほどのツィンマーマンの小品(日本初演)が演奏された後、インターバルを置かず、続けてベートーヴェンが演奏された。
 それはもちろんメッツマッハーなりの考えや意図に基づいた結論だろう。彼に言わせれば、作曲された時代が異なる二つの作品を結ぶ何かが存在しているということだろうし、「静寂と反転」の調性はニ音(レ)が基本になっていて、続くミサ・ソレもニ長調だから、つながりはスムーズだったことは認めよう。
 
 だが、結局私にはその意図も効果もよく分からなかった。
 10年くらい前にもK・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団の来日公演で、リームとブラームスの融合実験を聴いたが、その時も私の感想はただ一つ、「困惑」だった。
 
 ということで、今回のコメントもベートーヴェンのみに絞らせてもらう。
 
 メッツマッハーのミサ・ソレは、とても客観主義的だと思った。あるいは視覚的とも言おうか。音楽に内在するエネルギーを燃焼させながら作曲家の不撓不屈の精神に迫るのではなく、スコアを俯瞰的に眺めてその構造を露わにするといった感じである。それゆえ、出てくる音がとても率直で、現代奏法を駆使しているのにも関わらず、あたかも古楽奏法のアプローチのようなシンプルな印象を受けた。
 一方で、感興の高揚に走ることがないので、人によっては物足りなさを感じるかもしれない。それはやはり、メッツマッハーの個性ということで認めなければいけないだろう。
 
 新日本フィルの演奏は、そうしたメッツマッハーの音楽をよく体現していたとは思うが、せっかく指揮者が楽曲の明晰化を図っているのに、時々焦点がボケてしまうことが見受けられたのが惜しい。
 でもひょっとしたら、ここ最近ウィーン・フィルN響で輪郭がしっかり整った演奏を立て続けに聴いてきたせいもあるのかもしれない。